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2023年12月28日 (木)

団結と参加の未来@『ひろばユニオン』2024年1月号

Hiroba_20231228144401 『ひろばユニオン』2024年1月号に「団結と参加の未来」を寄稿しました。

 3年前の2021年3月に『団結と参加 労使関係法政策の近現代史』という本を上梓しました。内容は英仏独をはじめ43か国(地域)の集団的労使関係法の歴史を取りまとめたものですが、その冒頭に「序章 労使関係法政策の諸類型と日本法制の性格」という小文を付けています。まずはその概要を紹介した上で、その延長線上にこれからの未来像を展望してみたいと思います。・・・・

・・・では、こうした「団結」と「参加」のありようは、今後どのようになっていくのでしょうか。まず人類史的観点から見れば、労使関係という概念自体が、産業革命とともに生み出されたごく最近の産物に過ぎません。それ以前には、親方と職人や徒弟の関係というものはあっても、それを労使関係ととらえる観点は存在しませんでした。その意味では、現在進みつつある情報通信技術の発展がどこまでの社会変化をもたらすかによって、そもそも労使関係といえるような関係が社会において重要なものとして存在し続けるのか、それとも周辺的な社会関係の一つに収縮してしまうのかが変わってくるということになります。

 産業革命以前の農業社会においては、雇われた農業労働者というのもいましたが、主たる存在形態は自作農と小作農です。小作農は地主から土地を借りて農産物を生産し、その収入のかなりの部分を地代として地主に払わねばなりません。戦前の日本では労働争議と同様に小作争議というのが全国で頻発し、大きな社会問題となりました。戦後農地改革で小作農という存在はほぼ消滅し、今日ではほとんど記憶されていませんが、かつて労働組合と並んで小作組合が争議の担い手であった歴史は、改めて記憶を蘇らせてみる値打ちがあるように思います。というのも、ITやAIの発展によって現在世界的にプラットフォームワークとかギクラウドワークと呼ばれる非雇用型の労働形態が急速に拡大しつつありますが、彼らが雇用労働者としての権利を行使できないのであれば、労働者ではなかった小作人たちが組合を結成して争議を起こしてきた歴史を蘇らせ、非雇用労働者による団結と団体交渉、争議の仕組みを構築していく必要があるはずだからです。実は、そうした非雇用型労働者の団結に向けた試みは、特に欧州諸国でいくつも進んでいます。

 そこまで話を先走らせないで、現在の日本の労使関係が直面している問題をどのように解決していくべきかというレベルで考えれば・・・・

 

 

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コメント

『ひろばユニオン』は来年で休刊でしたね。労働運動関係の雑誌がほとんどなくなってしまうようで大変残念です。労務管理や労働法の雑誌類は実務的にも需要があるのか健在ですが、労働運動にはもはや雑誌の類は不要なのでしょうか。

私が寄稿したことのある雑誌では、、『まなぶ』というのがまだ細々と続いているようです。

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