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2023年11月 3日 (金)

役人の性なのか(笑)

51sgqlf3yol_sx310_bo1204203200__20231103084401 読書メーターに、Inzaghicoさんの拙著『家政婦の歴史』への短評が載っているのですが、

役人の性なのか(笑)、規則や法律の条文が多く、素人は読んでいてクラクラしてくるが、冒頭と最後に著者の論旨が簡潔にまとめられている。そして不当な扱いを受けてきた、否、今も受けている家政婦を『「正義の刃」の犠牲者』と評している。戦前戦後の悪徳人夫供給業者を罰して正すという試みの巻き添えを食ってしまったのが、家政婦だった。彼女たちが、そのモデルが生まれた当初の派出婦会からの派遣、というままでいられたら、そんなことにははらなかった。

「役人の性なのか(笑)」と言われちゃいましたが、いやそれは否定しませんが、そもそも警視庁令派出婦会取締規則などというその存在自体が完全に忘れ去られていた代物を掘り出してきたので、それを皆様にご披露したいというのは、私はいち歴史研究者としての妄執といった方がいいと思われます。

14476_ext_01_0_20231103085101 ちなみに、今書店の店頭に並んでいる『週刊東洋経済』11月4日号に載った「話題の本」の最後のところで喋っていることですが、この本を書けたのは、国立国会図書館のデジタルコレクションがあったからなんですね。

『週刊東洋経済』11月4日号

――本書の執筆に戦前の公的文書から婦人雑誌まで資料を駆使しています。どう探したのですか。

 国会図書館のデジタルコレクションがあったからできた本なんです。所蔵資料がデジタル化されているため、「派出婦会」といったキーワードで全文検索できます。多くの資料は自分のパソコンで閲覧でき、館内限定のものでも申請手続きは簡単です。

 これまでは歴史の専門家でなければ調べる拠り所がありませんでしたが、掘り出せるようになりました。誰も関心を持たず、誰も覚えていない事柄を、何かの資料にちらっと描かれた断片を拾い上げて再構成できる。すごいことです。

 この本でひもといた家政婦の歴史には、労働の専門家も目を向けていなかった。そのような盲点はあちこちにあるのかもしれません。

 

 

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