これがスウェーデン流のストライキ
イーロン・マスクがスウェーデンのテスラ社に対する全面ストライキに「正気の沙汰じゃねえ」と口走っているようですが、いやいやテスラ社の工場のストライキに港湾労働者から郵便局の職員までが同情ストを展開するのが、スウェーデンという国の国柄というものなんです。アメリカみたいに企業中心社会ではないので。
久しぶりにフィナンシャルタイムズから。
Tesla strikes in Sweden are ‘insane’, says Elon Musk
An escalating strike against Tesla by a group of Swedish unions has been branded “insane” by Elon Musk as the industrial action threatens to disrupt the US carmaker’s operations in other parts of Europe.
About 130 mechanics in Sweden, who belong to the IF Metall union and service the electric cars, went on strike last month after Tesla turned down their request for collective bargaining.
Dockworkers and car dealers have since refused to work with the brand, in sympathy strikes that threaten to harm the company’s business in Sweden and potentially further afield. The latest strike by postal workers means Tesla cars will not have their licence plates delivered to customers.
Musk, Tesla’s chief executive and a staunch critic of unionisation, wrote that the situation “is insane”, in a post on the X social media platform he owns.
Tesla has avoided collective bargaining in its global operations despite opening a factory in Germany, where auto unions are powerful.
“This has been a huge cultural shock to Elon,” said Matthias Schmidt, an independent European auto analyst. “He has gone out of his way to avoid unionisation, but this is a huge wake-up call.”
郵便局の配達人が、テスラのナンバープレートの配達だけは拒否するというご丁寧な部分的同情ストライキをするというのは、日本はもとより、アメリカでも異様に感じられるでしょうが、でもスウェーデンではごく当たり前のことなのです。
とにかく組合なんて認めねえぞと、組織率8割の北欧にやってきて、団体交渉を拒否したりしたら、不当労働行為制度などというお上頼りの情けないものはなく、自力で、ということはつまり労働組合の総力を挙げて、そういうふざけた使用者は叩き潰す、というのがスウェーデンの労使関係システムなのであってみれば、まさにあらゆる産業に及ぶ労働組合の総力を挙げて、こういう行動に出るのが、スウェーデン流のストライキというものなわけです。
労使関係がお上頼りではなく自力救済ということは、つまりそういうことなのですから。
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フランスも結構こういう事はあるような気がします。
もっともフランスの労働組合は活動家だけで構成されているので非組合員が同情、あるいは便乗?してストライキに加わると聞いてはいますが。
投稿: balthazar | 2023年11月25日 (土) 08時48分
スウェーデンの労使関係について、ネットで読める日本語記事は、hamachan先生もご関与された、労働政策・研修機構の「労働政策研究報告書」Nо.165 「スウェーデンの労使関係―協約分析を中心に―(「規範設定に係る集団的労使関係のあり方研究プロジェクト」スウェーデン編)」)がありますね。
( https://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0165.html )
ミネルヴァ書房から、「スウェーデンの賃金決定システム 賃金交渉の実態と労使関係の特徴(西村 純 著、2014年8月)」も出版されています。以上、ご参考までに。
投稿: SATO | 2023年11月27日 (月) 15時15分