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2023年9月18日 (月)

ココナツ・チャーリイさんのたっぷり拙著評

51sgqlf3yol_sx310_bo1204203200__20230918230401 ココナツ・チャーリイさんがnoteで、拙著『家政婦の歴史』についてたっぷり紙幅をとって書評されています。

https://note.com/charlieinthefog/n/n3e6516af13a3

『ジョブ型雇用社会とはなにか』(2021年、岩波新書)のヒットが記憶に新しい著者が、なぜ家政婦の歴史?と思いながら手にとった。
 「はじめに」を読むと、なるほど「家政婦」という職業が、労働行政上、宙に浮いた存在であることがわかる。
 そしてさらに読み進めると、家政婦というビジネスモデルが戦前には法的にもその独自性を認められたにもかかわらず、戦後の混乱の中でさまざまな似て非なるものと同一視され、無理な当てはめを受けざるを得ず、現代に至るまでその矛盾を引きずっていることが分かる。・・・・・

以下、本書の内容を詳細に追いかけて行って、

・・・・社会正義の実現を志すコレットの大鉈振るいにより、家政婦という近代的なビジネスモデルが、行政上さまざまな制度に無理に当てはめられ、とりあえずその当てはめが落ち着くと、まもなく官僚も関心を失う。そして当てはめの無理がたたって、長時間労働規制の対象から漏れてしまう。
 そんな悲しい状況が、長きにわたり放置されてきたことに驚く。制度の網から抜け落ちる弱者、というのは他にもさまざま指摘されているが、まさか家政婦がそのような存在だったとなぜ気付き指摘する人がこれまでそういなかったのだろうか。
 本書ではそこまで書いてはいないが、放ったらかしにされた一因に、家事労働、あるいはケア労働そのものの地位の低さがあることは直感せざるを得ない。
 ところで著者は労働法政策の研究者であり、法やその運用、解釈の積み重ねに一定の重要性を認める立場である。家事使用人は適用外という労基法の規定にはいろいろと問題があるが、制定の経緯をたどればそう簡単に否定できるものでもない。この重みを踏まえた議論をしている点が真摯である。
 ただ、家政婦という先進的なビジネスモデルの元の在り方に即する形で、堂々と派遣事業化すればいいという著者の提唱は、理屈としてはそうなのだろうが、そもそも実際に派遣が解禁されても派遣事業へ移行しなかった家政婦紹介所が、今もなお存在し、結果、悲劇が起こり裁判にまでなったという帰結ではないのだろうか。あまり処方箋としての筋が見えないのが残念だ。

もちろん、現実に存在する家政婦紹介所がそう簡単に派遣事業に移行するとは思っていません。下記のように、むしろ労基法に縛られずに長時間労働したいという家政婦が多いこともあるでしょう。

ただ、本書にもちらりと書きましたが、世間でこの問題に憤っている人々が考えているほど、この問題の解決は簡単ではないということがあります。

たぶん、世間の圧倒的に多くの人々は、労基法116条2項の家事使用人の適用除外規定を削除すれば、現在の家政婦たちに労基法や労災保険法がめでたく適用されることになると思っているのでしょう。

しかし、残念ながらそうは問屋が卸さないのです。なぜなら、家事使用人であろうがなかろうが、労基法の適用対象は「事業」に限定されているからです。本書の241ページから242ページに引用してあるように、労基法の第9条と第10条は、「労働者」の定義においても、「使用者」の定義においても、「事業」であることを要件としています。


(定義)
第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

「事業」に使用されなければ、労基法上の労働者ではありません。

かつて労基法施行時には、派出婦会の派出の事業というれっきとした「事業」に使用される者だから、家政婦は労基法の適用対象だったのです。

それが紹介所に紹介されるだけで事業ならざる一般家庭に使用されるようになったため、家事使用人であろうがなかろうが、労基法の適用から外れてしまったのです。

なので、そこを改めるためには、家事使用人の規定を削除しても仕方がないので、家政婦の使用者を「事業」にしなければならないのです。

なので、私は「だったら派遣事業にしたら?」と言っているわけです。

POSSEの人をはじめ、この問題で運動している人々は、ここのところの構造がどこまで理解されているのか、いささか懸念されるところです。

なお、チャーリーさんは最後に、これにも言及されています。

 余談だが、著者の所属組織、労働政策研究・研修機構が最近「家事使用人の実態把握のためのアンケート調査」の結果を公表している。
 長時間労働規制を忌避したくてわざわざ、家庭に雇用されることを望む人も少なくないようで、これはこれで悩ましい。

これは、こちらに全文が載っています。

https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/230.html

 

 

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コメント

> 事業ならざる一般家庭

この場合、一般家庭は事業ではない、というのは(裁)判例から来ているのでしょうか?
わざわざ、事業と限定している以上は自然なのかもしれません。
個人的には、事業性よりも「指揮命令権の有無」をメインにした方が良かったのかもしれないと思いますが。

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