三浦淳さんの拙著書評
「隗より始めよ・三浦淳のブログ」で、拙著『家政婦の歴史』を書評いただいています。
http://blog.livedoor.jp/amiur0358/archives/1082488184.html
出たばかりの新書。著者は1958年生まれ、東大法卒、労働省官僚、政策研究大学院教授などをへて、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長。著書多数だが、私がこの人の本を読むのは初めて。
タイトルと内容にややズレがある本である。
タイトルからすると、文字どおりに家政婦の歴史をたどり、その仕事内容や労働条件、或いはその供給源や雇用する家庭の事情などについて、例を多数挙げながらたどった本なのか、と思う。
うーーん、『働き方改革の世界史』(ちくま新書)は確かにタイトルと中身がミスマッチでしたが、今度のはタイトルはむしろ内容に合っているように思っています。
実を言うと、最初に私が考えていたタイトルは、よりメッセージ性の強い『家政婦は女中なんかじゃない』とか『家政婦は女中じゃなかったのに』というものでしたが。編集者からもっとシンプルにということで、このタイトルになったという経緯があります。
自分で振り返ってみても、今まで誰もまともに書いたことがなかった家政婦の歴史をその発祥から今日まできちんと書いた最初の本であり、『家政婦の歴史』がふさわしかったと思っています。
いずれにせよ、本書はそういうわけで、日本の法律の持っている欠陥によって、過重労働を強いられて死んだ家政婦、およびその夫が何の補償もされずに放置されてしまったという、ショッキングな問題を詳細に解き明かす内容である。タイトルにあるような「家政婦の歴史」を知るには、別の本を読んだほうがよい。ただしそうした文献も紹介されている。
いや、家政婦に関する限り、一般向けの「そうした文献」というのは残念ながら存在しないのです。本書で使ったのは、大部分が政府ないし政府関連団体の発行した政策文書や統計の類いであり、あとは小説やルポルタージュの類いで、家政婦の歴史をまともに描いた本というのは、驚くべきことに過去100年以上にわたって全く存在しません。
だからこそ、編集者の薦めてくれた『家政婦の歴史』という素っ気ないようなタイトルがマッチしていると思っているのです。
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