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2023年9月26日 (火)

「公務員はジョブ型だった」は○?×?

759_10 『日本労働研究雑誌』10月号は、「公務員の職務と働き方」が特集です。

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/10/index.html

 特集:公務員の職務と働き方

提言
非正規地方公務員=会計年度任用職員制度の抜本的改善を! 早川 征一郎(法政大学名誉教授)

解題
公務員の職務と働き方 編集委員会

論文
国家公務員の職務概念─職階制の形骸化から見える現状と課題 岡田 真理子(和歌山大学准教授)

公務員の職業倫理─長時間労働との関係を探って 中谷 常二(近畿大学教授)

公務員の働き方と労使関係 松尾 孝一(青山学院大学教授)

「非正規」公務員をめぐる「改革」と課題 早津 裕貴(金沢大学准教授)

公務員の人事異動と人材形成─大卒ホワイトカラーの公民比較からの分析 圓生 和之(神戸学院大学教授)

地方自治体における採用活動の現状と課題─採用試験の見直しを中心に 大谷 基道(獨協大学教授)

国家公務員の幹部供給源に関する変化─国際比較の視点も交えて嶋田 博子(京都大学教授)

いろんな観点からの論文が並んでいますが、人事院出身で『職業としての官僚』という著書のある嶋田博子さんの論文の冒頭のこの台詞には、思わずそうそうと口走ってしまいました。

「日本の国家公務員人事は、1948年から2007年まで米国と同様のジョブ型・公募型だった」という文章の正誤を問われれば、×と即答する人が大半だろう。しかし、法律上はこれが正解である。一方、「キャリア官僚」と俗称される上級・Ⅰ種試験合格者が幹部ポストのほとんどを独占してきたことも間違いない。日本の官庁人事の最大の特徴は、法律と運用の大きな乖離にあると言えよう。・・・

さらに言えば、職階制こそ2007年改正で廃止されたとはいえ、フーバー以来のジョブ型の母斑は公務員法のここかしこになおいっぱい残っています。しかしその運用の実態たるや、恐らく民間のどの企業よりもメンバーシップ型が強固に作動しています。

職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折

その帰結は様々な箇所に矛盾として表出していますが、あまり人が指摘しない点として、ジョブ型社会でないが故にブルシットジョブのジョブディスクリプションをこまごまと作成するという究極のブルシットジョブがなくて済んでいるこの日本社会において、

デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ-クソどうでもいい仕事の理論』

・・・という本格的な批判はいくらでも出てくるのだが、ここではややトリビアな話題を。近年流行の「ジョブ型」論で言えば、ブルシット・ジョブといえどもジョブ型社会の「ジョブ」なので、ジョブ・ディスクリプションが必要なのだ。本書88ページ以下には、中身のない仕事の職務記述書をもっともらしくでっち上げるという究極のブルシット・ジョブが描写されている。日本にも山のようにブルシットな作業やら職場やらがあるのだろうが、ただ一つ絶対に存在しないのは、ブルシット・ジョブのジョブ・ディスクリプションを事細かに作成するというブルシットな作業であろう。
 なぜなら、日本ではそんなめんどくさい手続きなど一切なしに、もっともらしい肩書き一つで「働かないおじさん」がいくらでも作れてしまうのだから。もっとも、それがいいことなのか悪いことなのかの評価はまた別の話ではある。

法の基本設計がジョブ型でできている公務員に関する限り、「働かないおじさん」用のブルシットジョブのジョブディスクリプションをこまごまと作成し、曼荼羅図の如きポンチ絵でもって組織増員要求をするという究極のブルシットジョブから逃れることはできません。

また、この特集でも早津さんが取り上げている非正規公務員問題の根源も、なまじ終戦直後に官吏身分概念を廃棄し、ジョブに着目して末端の作業員まで悉く公務員であるという建前で法制度を作ったにもかかわらず、その後実質的に身分概念を復活させて、しかも法律上はそうじゃないふりをし続けたことの帰結とも言えましょう。

いろんな意味で興味をそそるテーマがいっぱい詰まっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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