お気持ち傷つけ罪@中国
中国、国民の「感情を傷つける」服装の禁止を検討-法改正案公表
中国では、国民の感情を害すると見なされる服装を理由に人々に罰金や懲役刑を科す法改正の可能性を巡り、国民が懸念を示している。
全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会はこのほど、「中国人の精神に害を及ぼし、中国人の感情を傷つける」服装や発言を含むさまざまな行為を禁じることを検討中とする法改正案を公表した。どのような行為が15日以下の拘留または5000人民元(約10万円)以下の罰金に当たるのか、具体的には明記されていない。この改正案は今年の優先事項の一つに挙げられている。
法改正案は中国の習近平国家主席が就任以来10年強にわたり、インターネット検閲を強化するなど、市民の自由を締め付けてきたかを浮き彫りにしている。上海近郊の都市、蘇州の警察は昨年、公の場で日本の着物を着ていた女性を拘束した。中国は第2次世界大戦中の行動を巡り日本と長年確執があり、最近は東京電力福島第1原子力発電所の処理水海洋放出決定を受け、さらに悪化している。
ここ1年に当局は、コンサートで虹柄のシャツを着たり、大学キャンパスで性的少数者(LGBTQ)を支持するシンボルの付いた旗を配ったりした人々を取り締まった。
まあ、中国の場合は、その専制主義的体制からして、「国民」の感情というのは究極的には中国共産党のトップの感情ということになるので、そういう観点からの批判になるのでしょうが、そこを一旦括弧に入れて、「国民の感情を害すると見なされる服装」の禁止や刑罰といった点に着目すると、これは実は近年の先進諸国でも共通して見られるある現象の一つの極端な現れと捉えることもできそうな気がします。
むしろ、民主主義的な体制下においてこそ、ポピュリズム的に「国民みんなの気持ちを傷つけるようなこんな格好をしやがって」という思想が広がっていく可能性があるのではないかと。近年、日本でも「お気持ち傷つけ罪」が氾濫していますが、どこまで突き進んでいくことになるのか、心配です。
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権威主義国家も(新)自由主義国家も同じような状況に陥っているのが興味深いところですね。
まあ、社会学的には、中間共同体が弱体化して原子化した個人が~といったおなじみの議論に帰着できるでしょうが。
投稿: 通りすがり2号 | 2023年9月 7日 (木) 19時32分
大日本帝国憲法に「臣民」は規定ー言及されていても「国民」はされていなかった、という指摘を思い出しますね。
>「国民」の感情というのは究極的には中国共産党のトップの感情
投稿: 読者 | 2023年9月 9日 (土) 06時07分