「応援手当」といういかにもメンバーシップ型助成金
両立支援助成金拡充 “応援手当”支給を後押し 育休時に最大125万円 厚労省来年度
厚生労働省は令和6年度、両立支援等助成金を拡充し、育児休業取得者の業務を代替する労働者に“応援手当”を支給する中小事業主向けの新コースを設定する考えだ。業務引継ぎの体制を整備して手当を支給した場合に、育休取得者1人につき最大125万円を助成。代替要員の新規雇用に対しても最大67.5万円を支給する。短時間勤務など、育児期の柔軟な働き方に関する制度を複数導入した企業を支援するコースも創設する。
この「応援手当」、記事によると、「育休や育児短時間勤務期間中の業務体制を整備するために、業務を代替する周囲の労働者への"応援手当"(業務代替手当)を支給」云々とあり、自分もけっこうな量の仕事を担当している「周囲の労働者」が育休で抜けた同僚の分まで「応援」することを前提とした制度設計になっているようです。
実は今までも、両立支援等助成金の育児休業等支援コースには、「新規雇用」と「手当支給等」というのがあり、前者は育休者穴埋めのための新規採用、後者は社内の他の労働者に代替させていることで、前者は一人当たり50万円、後者は一人当たり10万円だったのですが、それが新規雇用は67.5万円に微増に対して、周囲の労働者が「応援」すると125万円に跳ね上がるようです。
周囲の労働者の「応援」を前提にしていること自体が、いかにも日本的なメンバーシップ型の発想ですが、そちらの方が遥かに評価されるという新制度は、それが極限まで昂進している感じがします。
まあでも、育休世代のジレンマで『悶える職場』に対しては、こういうことにならざるを得ないのかも知れません。
・・・いざ、この部署で働くと、その通りになっていました。部署の責任者である課長は、50代前半の女性。育休明けの2人は、毎日5時に帰ります。部署全体が忙しくとも、5時に帰るのは「当然の権利」という雰囲気を漂わせています。・・・
私の月の残業時間は、平均80時間ほど。多いときは、100時間目前になっていました。午前10時頃から午後11時半頃まで、フル稼働でした。月に3~4日は休日出勤。そのうちのいくらかは当然、サービス残業となります。・・・
「もう、限界に近い。これ以上、仕事を抱え込むことはできない」
「2人とも意識が家庭に向いていて、仕事に集中できていない」
「このままでは、私たち2人は潰れる」
「『女性の職場進出』や『母性保護』の犠牲になりたくない」
いつの間にか、部署全体が機能しなくなっていきました。課長と私、そして育休明けの2人のコンビの間に大きな溝ができたのです。
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まあ、「メンバーシップ型+男女平等+少子化対策」は無理ゲー、ってことで
とっくに決着がついてるんだけど
投稿: 羅民 | 2023年9月15日 (金) 17時47分