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2023年8月 7日 (月)

正社員の労働条件引下げによる同一労働同一賃金の実現は許されるか?@WEB労政時報

先週8月1日に、WEB労政時報で「正社員の労働条件引下げによる同一労働同一賃金の実現は許されるか?」がアップされていました。

https://www.rosei.jp/readers/article/85363

 過去20年にわたって非正規労働者の均等・均衡処遇問題が政策の重要課題となり、2018年の働き方改革では「同一労働同一賃金」といういささか的外れな標語を掲げてまで推し進められてきています。ところが、正社員と非正規労働者の格差というのは、後者の労働条件が不当に低いということを意味する限り、前者の労働条件が(少なくとも後者との関係において)不当に高いということを意味するはずです。もちろん、そもそも資本と労働の分配率が云々という議論はあり得ますが、非正規労働者から見れば正社員が自分たちの不当に高い労働条件を守るために言っている屁理屈に見えるでしょう。これが高度成長期のようなインフレ基調であれば、正社員をあまり上げないでいるうちに非正規労働者をどっと上げれば相対的に格差が縮小していくでしょうが、デフレ基調の社会ではそれも望み薄です。そこで、総額人件費がそれほど急激に上がっていかないことを前提に、正社員と非正規労働者の不当な格差を是正するためには、正社員の不当な高労働条件を削減するということを考えざるを得ません。
 ところが一方で、日本の労働法においては、労働条件の不利益変更法理という複雑怪奇な法理が発達し、様々な条件でもって合理性を判断した挙げ句、合理性のない不利益変更は無効になるということになっています。この領域はこれだけで本一冊が書けるくらいの膨大な議論が積み重ねられていますが、非正規労働者との格差是正という観点から見たときの重要なポイントは、会社側がまさに正社員と非正規労働者の格差是正を目的として前者の労働条件を引き下げたことに対して、労働者側が不合理な労働条件変更だといって訴えた場合、最高裁判所で最終判決が出るまでは結論が決まらないということです。この、労働条件不利益変更法理の法的安定性の欠如は今まで繰り返し指摘されながら、今日までまともに対応することが避けられてきた領域と言えます。
 たとえば、働き方改革による改正パート・有期法に基づく「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」では、・・・・・

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