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2023年8月28日 (月)

札幌国際大学(大月隆寛懲戒解雇)事件の地裁判決文

今年2月に札幌地裁で下された札幌国際大学(大月隆寛懲戒解雇)事件については、新聞記事に基づいてこんなエントリを書きましたが、

定年前解雇者の定年後解雇無効判決による地位確認

労働法学的に興味深い論点はここです。

大月さんは、裁判中に定年の63歳を迎えた。裁判では、定年後再雇用の成否も争点となったが、解雇事由がないことなどから、雇用が継続されるものと期待することに合理的な理由があるとして、現在についても、定年後再雇用された教職員としての労働契約上の地位にあると認めた。

判決文はまだ見られていないので、どういう理屈建てになっているのかはわかりませんが、おそらく高年法に基づき65歳までの継続雇用が義務付けられていることを根拠に、63歳定年後も65歳までは雇用が継続されることになっていたはずだと判断したのでしょう。ただ、「定年後再雇用された教職員としての労働契約上の地位」の確認というのは、具体的にどのような雇用条件で再雇用されたものと認定されたのか、興味をそそられます。 

この地裁判決文が裁判所HPにアップされました。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/324/092324_hanrei.pdf

事案の内容からして、

よって、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、無効である。 

というのはまあそうだろうな、というところですが、上記定年後再雇用の成否という論点についてはどう判断しているかというと、

3 争点②(定年後再雇用の成否)について

⑴ 本件就業規則10条1項本文は、大学教員は満63歳に達した日の属する年度の終わりをもって定年とする旨を定め、同項ただし書は、本人が希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない者については、本件特任就業規程により、退職日の翌日から1年ごとの雇用契約を更新することにより満65歳まで継続雇用する旨を定めている。
これに加え、証拠(甲48)によれば、被告の理事長は、平成29年3月14日発行の学園報において、教員の定年及び定年後の雇用について、満68歳まで雇用されるのが原則ではなく、例外であり、原則は、満65歳に達した日の属する年度の終わりまでであり、これを周知徹底する旨を述べたことが認められることを踏まえれば、被告においては、本件就業規則10条1項ただし書の要件を満たす者は、満65歳に達する日の属する年度の終わりまでは、原則として再雇用されるというべきである。
そして、原告は、本件訴訟係属中である令和4年▲月に満63歳に達し(前提事実⑴イ)、同年3月31日をもって定年に達したと認められるところ、原告は、本件訴訟において、上記定年後は再雇用による雇用契約の継続を希望していたと認められ(弁論の全趣旨)、既述のとおり、原告に解雇事由があるとは認められず、その他退職事由もうかがわれないから、上記再雇用の要件を満たすものと認められる。
以上に鑑みれば、原告において、定年による雇用契約の終了後も満65歳まで雇用が継続されるものと期待することに合理的な理由があると認められ、原告の人事考課の内容(前記2⑶)等を踏まえれば、原告を再雇用しないことにつきやむを得ない特段の事情もうかがわれないから、再雇用をすることなく定年により原告の雇用が終了したものとすることは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めることはできない(最高裁平成23年(受)第1107号同24年11月29日第一小法廷判決・裁判集民事242号51頁参照)。
⑵ したがって、原告は、令和4年4月1日以降は、被告との間で定年後に再雇用された教職員としての労働契約上の地位にあると認められる。
そして、その労働条件は、本件就業規則、本件特任就業規程及び本件特任給与内規の定めに従うことになるものと解される。

というわけで、基本的には大学側の就業規則の規定の解釈に基づき(言い換えればそれが準拠している高齢法の規定に基づき)、定年後再雇用されたものという地位を認めています。

 

 

 

 

 

 

 

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