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2023年8月10日 (木)

人間文化研究機構(国際日本文化研究センター)vs呉座勇一事件が和解で解決

一昨年に訴訟が提起された時に、「これは労働法的にも大変興味深い事案なので、是非判決まで行って欲しい」と思ったこの事件ですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-fa4a02.html

今年10月から無期契約になると今年1月に決定を受けた有期契約労働者というのは、その間の期間は有期なのか無期なのか、有期であると同時に無期の内定状態でもあるのか、その間の期間に無期に転換するという決定を取り消されることはどういう法的な性質があるのか、単なる期待の消滅に過ぎないのか、それとも内定状態の無期契約の解除すなわち解雇であって、解雇権濫用法理の対象であるのか。うわぁ、これって、採用内定の法的性質の応用問題のようにも思われるのですが、皆さんどう考えますかね。

結局、呉座さん側の「勝利的和解」で解決したようです。

https://ygoza.hatenablog.com/entry/2023/08/09/185640(労働訴訟の和解成立のお知らせ)

お世話になっております。この度、大学共同利用機関法人人間文化研究機構を相手取って京都地方裁判所に提起しておりました労働訴訟(令和3年(ワ)第2712号 地位確認等請求事件および令和3年(ワ)第3080号 懲戒処分無効確認請求事件)において、和解が成立しました。和解内容の詳細は公表できませんが、私の研究者としての再起に資するものと考えております。 

「和解内容の詳細は公表できません」とのことですが、「私の研究者としての再起に資するもの」ということですので、復職なしの金銭解決ではなく、期間の定めのない雇用契約としての地位を確保されたものと思われます。

私の行った調査によると、裁判上の和解においては96.5%が雇用存続せずに金銭解決しており、雇用存続してかつ金銭補償も得ているのは1.1%に過ぎません(令和調査)。

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2023/0226.html

詳細不明とは言え、呉座さんが嬉しそうに和解を報告するような形で決着したことは、「是非判決まで行って欲しい」という労働法関係者のエゴは満足されませんでしたが、呉座さんご本人にとってはよい解決であったと思われます。

 

 

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コメント

このように事件番号まで判明している事案では、訴訟記録の閲覧によって、経過のうち大部分が見ようと思えば見ることができるのではないでしょうか?

女性差別的な文化を脱するために
> 中傷や差別を楽しむ者と同じ場では仕事をしない

素晴らしい考え方のようにも見えるけれど、実際、
例えば、刑務作業みたいなものをどう考えてるんで
しょう?

> 研究・教育・言論・メディアにかかわるすべての人へ

というところにヒントがあるのかもしれませんね。

> バイデンとトランプの労働者の支持の取り合いというわけです。民主党はバラモン左翼じゃねえぞ、と。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2023/09/post-987dae.html

> 助教に就任する予定であることをご報告いたします。

和解は一旦、雇い止めになった上で出戻りのようですが
「雇い止めは無効である」(したがって無期転換する)
みたいな近い判決を書くのは無理筋なんでしょうかね?

欧米の大学でも広く行われているとされるテニュア・トラックって
助教に「准教授であるかのような振る舞い」を求めている訳なので
メンバーシップ型的なんですよね

この感覚と「助教で無期雇用」は抵触するのでしょう

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