ロバート・D・パットナム/ シェイリン・ロムニー・ギャレット 『上昇』
ロバート・D・パットナム/ シェイリン・ロムニー・ギャレット 『上昇 (アップスウィング)アメリカは再び〈団結〉できるのか』(創元社)を、編集に当たった小野紗也香さんよりお送りいただきました。
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4686
緻密な統計分析と幅広い領域を見渡すダイナミックな論理展開で、現代アメリカにおける格差拡大の背景と社会関係資本〈ソーシャルキャピタル〉の重要性を論じてきたR・D・パットナム。
『孤独なボウリング』『われらの子ども』などのベストセラーに次ぐ本書では、気鋭の作家S・R・ギャレットの協力のもと、アメリカの過去100年における「われわれ(We)」性の上昇と下降が描く逆U字曲線に着目する。
19世紀末には極端な個人主義だったアメリカ社会が、約半世紀をかけて徐々に差別と格差を縮小させ、利他性とコミュニティ志向を強めたのち、1960年代をピークに再び下降して現在の排他的な差別・格差社会に至るまでの大きな流れを、政治・経済・社会・文化・人種・ジェンダーなどさまざまな角度から検証。危機的状況にある現在のアメリカが再び〈上昇〉するためのヒントを探る。
パットナムの本は、以前『われらの子ども』をお送りいただき、ここでも紹介したことがありますが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-0416.html(ロバート・パットナム『われらの子ども』)
今回の本はさらにマクロな視点からこの100年以上にわたるアメリカ社会の推移を骨太に描き出していきます。
第一章 過ぎ去りしは序幕
第二章 経済――平等性の盛衰
第三章 政治――部族主義から礼譲へ、そして元通りに
第四章 社会――孤立と連帯の間
第五章 文化――個人主義 対 コミュニティ
第六章 人種とアメリカの「われわれ」
第七章 ジェンダーとアメリカの「われわれ」
第八章 二〇世紀の弧
第九章 漂流と統御
こういう世紀単位の動きといえば、もちろん思い出すのはピケティの議論です。本書でも彼の議論が第2章の経済のところでいくつか取り上げられていますが、パットナムの視野は上の目次に見られるように大変広くかつ微細なところにまで入りこんでいます。出て来る名前のあれこれが妙に懐かしい感じを与えるのも世代のせいだけではないでしょう。
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コメント
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ここでいう〈団結〉、格差が縮小したのはやはり戦争の影響が大きいですし、60年代後半には社会の分裂傾向が出現しますから、正味20年やそこらの例外事象にすぎなかったと考えるべきかもしれませんね。
むしろ日本が70年代以降も格差を縮小しつづけて、90年代までは戦後的な世界を維持したというのが驚異的というべきでしょう。まあ、その副作用にいま苦しんているともいえるが。
投稿: 通りすがり2号 | 2023年7月31日 (月) 19時30分