読売新聞(7/22)に登場
7月22日(土曜)の読売新聞の第6面に「労働市場改革へ指針 「ジョブ型」で賃上げ課題 日本型雇用との調整必要」という倉貫編集委員の記事が載っており,そこに、わたくしのインタビュー記事も載っております。
https://www.yomiuri.co.jp/commentary/20230721-OYT8T50062/
1980年代は日本経済が高い成長が続き、日本型雇用制度が礼賛され、欧米のジョブ型の硬直的な制度はだめだと言われていた。90年代以降は日本の職能給や資格給制度が硬直的で、生産性が落ち込んだ要因と言われ、制度の見直しの気運が高まっているのだろう。ただ、岸田内閣が打ち出した職務給に着目したジョブ型は、採用から退職・転職までセットにした欧米型とは異なる点が多い。
半世紀以上前に職務給を巡る議論がはやった時も新卒一括採用の見直しや教育訓練制度の見直しにまでは至らなかった。
新卒で一括採用して社内で育てるメンバーシップ型において、賃金体系を職務給に変えることはなかなか難しい。IT技術者のような専門性の高い人は別立ての賃金体系にするといった制度を導入するケースはあるが、それをもってジョブ型を採用したということにはならない。結局、採用してからしばらくはメンバーシップ型で人材育成し、ある時点で賃金制度を変えて、職務ごとに処遇を定めるジョブ型的な運用にすることになるのではないか。
欧米は、仕事のスキルに値札があり、転職を通じて賃金水準が上がっていく。日本は定昇とベアの水準が春闘で労使が交渉するが、全体の水準は決まるが社員個々人がいくらになるかは分からない。ジョブ型の社会は、個々人の仕事の値札を上げることで全体の賃金水準が上がる。ジョブ型への移行を目指すなら労使交渉のやり方も大きく変える必要があるのではないか
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