国立国会図書館デジタルコレクションの威力
山下泰平さんという方が、「国立国会図書館デジタルコレクションを使えば生存している人類の中でなにかに一番詳しい人間になれるけど」と言われているのですが、
https://cocolog-nifty.hatenablog.com/entry/kuwashii
恐らく同じような感想を抱いている人は他にも結構いるのではないかと思いますが、私も今回これを痛感しました。
来る7月20日に、文春新書から『家政婦の歴史』という本を出すのですが、この本も、国立国会図書館デジタルコレクションがなければ一番肝心のところが書けなかっただろうと思います。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614141
労働市場の仲介ビジネスという観点からこの問題にアプローチし始めたときに最初に活用したのは、わたくしが勤務する労働政策研究・研修機構の労働図書館で、ここには労働政策に関わるむかしの公的文書や官庁関係が出していた雑誌とかが結構収蔵されているので、それを片っ端から見ていくだけで、それなりの描像を描くことはできるのです。
しかし、改めて家政婦の歴史を深掘りしようとしたときには、そういうオフィシャルな文書ではない様々な媒体に書かれた資料が必要となります。この本でいうと、特に第1章の大和俊子が派出婦会を立ち上げて発展させていくあたりなどは、『婦人之友』、『婦人界』,『婦人倶楽部』、『主婦之友』といった当時の婦人雑誌に書かれた記事を駆使しているのですが、こういうのはこのデジタルコレクションで「派出婦会」「大和俊子」で検索して出てきたのをチェックして調べるというやり方ができなかったら,到底やりきれなかったでしょう。
全く土地勘のない人にとってはデータが膨大すぎて使いこなせないかも知れませんが、ある程度こうじゃないかというあたりをつけていい資料がないかと探しているような人にとっては、これは実に宝の山だなあと、改めて感じたことでした。
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