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2023年5月16日 (火)

ジョセフ・ヒース『啓蒙思想2.0』

0000000150832_exbxt8c 労働新聞の3月6日号でジョセフ・ヒースとアンドルー・ポターの『反逆の神話』を取り上げたので、同じヒースのこの本を読んでみました。

あまり短期間に同じ著者の本を取り上げるのもどうかと思ったので、労働新聞の書評には使いませんが、読んでそのままにしておくのももったいない本なので、心覚え的に。

本書の内容については、早川書房のサイトに公開されている訳者のあとがきに委ねて、

https://www.hayakawabooks.com/n/ne204b2e91a2f

本書を読みながら思ったのは、前半部分でこれでもかこれでもかとばかりにクラシックな啓蒙思想1.0のだめっぷりを書き連ねた挙げ句に、しかしそれに代わって出てきた右翼左翼両側のどうしようもないブタのような非合理主義の席捲に対して、賽の河原に石の塔を積み上げるかのように正気を取り戻すべくあれこれと考えていくその姿は、実は低劣なポピュリズムに叩かれてはそこまで墜ちて行きたがる日本の進歩派と言われる人々に爪の垢を煎じて飲ませたくなるような内容です。

ま、理性よりも情緒に訴える方が票につながる政治の世界では、啓蒙思想などと口走った瞬間に、「なにっ、啓蒙だとっ?私たちを無知蒙昧だとでも云うのか!可哀想な我々の蒙昧を啓いて下さるとでも云うつもりか!偉そうなことを云いやがってふざけるな!差別だ、許せない!」という次第になるだけでしょうけど。

 

 

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コメント

 なるほど、元ネタは、やはりハーバーマス大先生でしたか。hamachan先生が2021年5月 2日 (日)付でとりあげられていた、「新全体主義の思想史」の張博樹先生もハーバーマスの研究から西洋思想の研究を始めた方で、「確かにハーバーマスのような批判だな」と思って当該著作を読ませていただいた記憶がありますが、ここらあたりは、まともな批判をしようとすれば、同様の論理展開にならざるを得ない、ということなのでしょうね

 (ついでに言えば、批判されている方の理論も、スターリンや毛沢東の現代版としか見えない、お粗末なものだ、という点も共通していますが)。

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