日本におけるジョブ型流行史@『日本労働研究雑誌』2023年6月号
本日発行の『日本労働研究雑誌』2023年6月号に「日本におけるジョブ型流行史」を寄稿しました。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/index.html
これは、「ジョブをめぐる2つの論点」という特集の一つで、特集記事全体は次のようになっています。
提言
求められる「型」を超える視点 今野浩一郎(学習院大学名誉教授)解題
ジョブをめぐる2つの論点 編集委員会論文
日本におけるジョブ型流行史 濱口桂一郎(JILPT労働政策研究所長)
労使関係論とジョブ─調査体験論的考察 石田光男(同志社大学名誉教授)
労働契約の展開における職務の特定 鈴木俊晴(早稲田大学教授)
メンバーシップ型雇用管理とジョブ型雇用管理─ジョブ型雇用管理は日本に定着するか? 八代充史(慶應義塾大学教授)
雇用制度に内在するジェンダー格差─職務を通して見えるもの 秃あや美(跡見学園女子大学教授)
国際比較から見える日本のジョブの特徴 明日山陽子(日本貿易振興機構アジア経済研究所副主任研究員)
ジョブ・クラフティングの可能性の多角的検討 高尾義明(東京都立大学大学院教授)
拙論の要約は以下の通りです。
近年日本では「ジョブ型」の雇用管理や賃金制度が流行語となっているが,日本の歴史上雇用管理や労働政策において「職務」が注目されたのは1950年代から1960年代に至る時期であり,新しいテーマではない。この時期,経営者団体は年功的な生活給から職務給への移行を唱道していたし,政府も累次の経済計画等で同一労働同一賃金に基づく職務給や企業を超えた労働移動を推進しようとしていた。ところが,1970年代から1980年代には,職務よりもヒトに着目する日本的な雇用管理が賞賛されるようになり,賃金制度もヒトの能力に基づく(とされる)職能給が普及し,年功的な処遇が維持された。1990年代以降は,企業側が中高年層の過度な高賃金を是正するため成果主義を唱道する一方,非正規労働者の過度な低賃金を是正するための同一労働同一賃金が課題となり,日本経済の不振も相まって,半世紀ぶりに再び「職務」が注目されるようになっている。
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