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2023年5月 1日 (月)

性的指向による差別を禁止する法案は21年前に自民党政権がちゃんと出していた件について

もうこれも嫌になるくらい繰り返してきた話ですが、保守反動政権の出してくる法案はことごとくけしからんものだから叩き潰すのが当然と心得ているらしい方々には全然教訓になっていないらしいので、再三再四になりますが再掲しておきますね。

文中「16年も前の2002年」とあるのは、「21年も前の2002年」と読み替えて下さい。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/lgbt-7b3d.html(LGBTと人権擁護法案)

いろいろと世間が騒がしいようですが、LGBTと言われる性的指向に係る差別や侮辱、嫌がらせ的言動については、16年も前の2002年の段階で、当時の自民党政権から提出された人権擁護法案に、ちゃんとこういう規定があったことを、覚えている人はどれくらいいるでしょうか。

http://www.moj.go.jp/content/000104841.pdf


(定義)
第二条 ・・・
5 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。

(人権侵害等の禁止)
第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
一 次に掲げる不当な差別的取扱い
イ 国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ロ 業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ハ 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)
二 次に掲げる不当な差別的言動等
イ 特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
ロ 特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動
三 特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為
二 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為

こういう立派な法案が、なぜ成立することなく、今では忘れられてしまっているかって?

それはもちろん、当時の野党、つまり今でも野党になっている民主党、社民党等が反対したからです。また、有力マスコミもメディア規制が入っているのがけしからんと、揃って反対しました。それで廃案になり、その後は今度は自民党の中から猛烈な反対論が出て、ついに出せなくなり、潰したはずの民主党が政権についてから法案を出し直したけれどもやはり廃案、今に至るというわけです。

悪い奴らが出す法案はことごとにそのアラを暴き立てて潰すに限ると思い込んでいる方々も多いようですが、うかつにやるとこういう結果になるといういい実例です。

 

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コメント

最近これに似たような展開になった法案がありますね。
入国管理法改正案です。
立憲民主党が難民認定のための第三者機関の設置を求めて修正協議を求めました。与党側は将来設置を検討することを付則で定める、と言う案を出しましたが、結局立憲がこれでは不十分と拒否。
結局与党は立憲に示した修正案を全部引っ込めて、維新の求めた微修正のみのほぼ原案通りの可決となりました。

https://digital.asahi.com/articles/ASR4X3Q6SR4WUTIL04M.html

とりあえず第三者機関を付則に盛り込ませて、これをテコに本則に入れるように国会審議で求めていく、あるいは「今回は残念ながら力不足で付則に盛り込むだけとなりました。私たちが政権を取ったら第三者機関を設置します。そのために政権獲得に向けて一緒に頑張りましょう!次の選挙で政権を取って今度こそ第三者機関を設置できるようにしましょう!」とやれば良いのです。

政治とはそうあるべきだと思います。
ベストがダメならセカンドベスト、そしてそれをベストにするために政権を取る。
それが政権交代可能な民主主義政治ではないでしょうか。

もちろん修正でなく絶対に反対、と言うのもあって良いのですが、入管法改正案も人権擁護法案も「絶対に反対!」すべきものでなかったと思います。

なお、性的思考を禁止する法案についてはこんな面白い展開になってますね。

https://digital.asahi.com/articles/ASR4W55HTR4VULFA02T.html

日本の左派の一部の人たちにとっては経済同友会なるものは「保守反動的な自由民主党を支える強欲な資本家たちの巣窟」とディスする団体なのでは(^^;
その団体の会長さんが自由民主党に意見している。
日本の左派の一部の人たちの認識が正しいのであれば経済同友会、経団連の会長さんがLGBT理解増進法案の提出を要求するのは絶対にあり得ないはずです(^^;

宗教的背景なしにLGBTを語るのはまずいのではないかと思うので、その団体の会長さんは(そういうポジションなんでしょうが)勇み足かなぁ。

多様性を言うなら、理解が遅いのも多様性として認めよ、って言ってほしかったですね。

リベラル党がリベラルな政策を推進しようとしたら、なぜかリベラル党員から「これではまるでリベラル政党だ」と嘆かれたという笑うに笑えない話を思い出しました。
 
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-3c496f.html
自民党は今でもリベラルと名乗っている唯一の政党である件について

>悪い奴らが出す法案はことごとにそのアラを暴き立てて潰すに限ると思い込んでいる方々も多いようですが、うかつにやるとこういう結果になるといういい実例です。

  野党は政府の法案に対案も出さずに反対ばかりしている
という批判に対して、立憲民主党の国会議員が
  反対しているのは一部の法案で、政府が提出する法案の大部分(7割以上?)には賛成している
と述べていました。
問題の法案は、LGBTの関係者や野党支持者だけでなく経済団体のトップや駐日アメリカ大使も支持しています。最高裁も、LGBTの方が女子トイレの使用に関して国を訴えて敗訴になった高裁の判決に関して弁論を開く事にしたので、この判決をを見直すかもしれません。少なくとも高裁の判決がそのまま確定という事はないそうです。国会でも与党の公明党を含め自民党以外のほとんどの政党がこの法案に賛成しています。自民党にも賛成の議員は多いので、数としては賛成の議員のほうが多いのではないかと思います。
このような状況なので、本来ならばこの法案は7割に属してシャンシャンと成立してもおかしくないと思います。それを一部の(幹部を含めた)自民党議員がクレーマーのように難癖を付けてごねているように思えます。
私はこの法案の状況に関して批判されるべきなのは、別の問題を理由に反対した20年以上も前の野党やマスコミではなく、現在の状況でいちゃもんのような理由でごねているクレーマーのような一部の自民党議員やマスコミだと思います。

>不勉強な大人様

>立憲だの国民だの、どこの政友会かという戦前風の党名。

本来であればこちらの方から「リベラル」な政策が出るのもおかしいのですよね。
そりゃあ、「民主党」「社会民主党」が使えないというのは分かるのですが。
そう言う失敗はきちんと総括して「民主党」「社会民主党」結党当初の理念にもう一度立ち返ってやり直します、と言えば良いんですよ。

>balthazarさん
リベラル党が2012年(平成24年)に現行の日本国憲法よりもリベラル色が薄い「日本国憲法改正草案」を提示した一方で、コミュニスト党やソーシャル党が護憲に回るという捻れもあって名は体を表すとは言えない状況になっていますね。

「コミュニスト党」は以前「日本人民共和国憲法」草案を党是にしていたらしいですし、「「ソーシャル党」も党内では社会主義憲法改正案を議論していたこともあったはずですが、ソ連がダメになったのでそれらを引っ込めてしまって「護憲」を出してきたらしいですね。

だからソーシャル党からの移籍が多い立憲民主党が「立憲」を掲げているわけですね。
一応今の立憲民主党は「護憲」一本やりは降ろしてるみたいですが、日本国憲法をよりリベラルな方向に、あるいはそれこそ条文をもっと細かくしてより「立憲主義」的にする改憲案は出せてないですね。

何だかなあ。

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