本田一成『メンバーシップ型雇用とは何か』
本田一成さんの著書『メンバーシップ型雇用とは何か 日本的雇用社会の真実』(旬報社)をお送りいただきました。
https://www.junposha.com/book/b627229.html
終身雇用や年功序列といった日本型雇用の特徴は、いまや過去のものとなりつつある。
こうした状況のなか、日本経団連は「メンバーシップ型雇用」から
「ジョブ型雇用」への転換を推進するとしている。
果たして「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」とは何か?
日本において、メンバーシップ型雇用が定着し発展した経緯を歴史的に明らかにし、
現代の働き方とあり方を提示する。
本田さんがライフワークとして研究してきたチェーンストアという戦後登場発展してきた業態において、その業態の輸入元のアメリカ流のジョブ型ではなく、日本的なメンバーシップ型雇用がいかにして生成発展してきたのかを、その労働組合運動の歴史から明らかにしようという本です。
序 章 「メンバーシップ型雇用」を問い直す
第一章 黎明期の「メンバーシップ型雇用」
第二章 「メンバーシップ型雇用」の形成
第三章 「メンバーシップ型雇用」とは何か
終 章 「働き方改革」と「メンバーシップ型雇用」
そこから浮かび上がってくるのは、本田さんが「F型」と呼ぶ女性の働き方です。
・・・そんなメンバーシップ型雇用の主役はM型であるが、M型だけではメンバーシップ型雇用は成り立たない。M型たる働き方を支えるためにはF型を必要とする。この事実は、F型で働く当人たちが,つまりそのほとんどを占める女性たちが痛感していることである。しかし、メンバーシップ型雇用を議論する場合には、決して表面には出てこない。その意味でF型はメンバーシップ型雇用の「黒子」である。・・・
「F型を見よ!」。これが「メンバーシップ型雇用とは何か」という問いかけに対する一つの答である。・・・
ここ数年異様に言葉だけ流行している「ジョブ型」ですが、男女労働者の働き方の現場に遡って論じられることは未だに少ないようです。
実は今朝、立憲民主党の雇用問題対策プロジェクトチームというところに呼ばれてジョブ型について喋ったのですが、そこでも述べたように、経営改革という目線でジョブ型を生産性の高い新商品として賞揚する議論ばかりが横行し、柔軟で物的生産性が高いメンバーシップ型の働き方がそれゆえに若い男性陣の無理の利く働き方をデフォルトルールとし、それについて行けない人々の問題を生み出してしまうという社会学的問題こそが重大なのだということはなかなか世の中に伝わりにくいものです。
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