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2023年4月22日 (土)

ポピュリスト急進右翼の福祉国家へのインパクト@ソーシャル・ヨーロッパ

Se13_20230422110601 例によってソーシャル・ヨーロッパから、ジュリアナ・チュエリの「The populist-radical-right impact on the welfare state」(ポピュリスト急進右翼の福祉国家へのインパクト)。

https://www.socialeurope.eu/the-populist-radical-right-impact-on-the-welfare-state

Radical-right parties are transforming the welfare state, recreating a moral separation between the ‘deserving’ and ‘undeserving’.

急進右翼政党は福祉国家を改造し、「値する者」と「値せぬ者」の間に道徳的分離を再び設けようとしている。

彼女は、右翼政党が福祉や再分配を強調するのを単なるマーケティング戦略だと軽視する学者を批判し、事態はもっと深刻だと述べます。

Radical-right parties’ positions may seem incoherent and inconsistent when viewed through the lens of the traditional left-right division on welfare issues. But in a recent study, I write that this is only because it represents a new form of redistributive logic. Populist radical-right parties are developing a dualistic welfare state. This addresses ‘deserving’ and ‘undeserving’ welfare recipients in very different ways, which go far beyond the notion of welfare chauvinism. 

急進右翼政党のポジションは福祉問題に関する伝統的な左翼-右翼の分断のレンズ越しに見れば不整合で一貫しないものに見えるかも知れない。しかし最近の研究で私はこれが新たな形態の再分配のロジックを現しているからに過ぎないと書いた。ポピュリスト急進右翼政党は二重構造の福祉国家を発展させつつある。これは様々なやり方で福祉の受給に「値する者」と「値せぬ者」を作りだし、これは福祉排外主義の認識を超えるものだ。

For the ‘deserving’ (such as nationals with long employment histories, and pensioners), the populist radical right are defending a protectionist welfare-state logic. For these people, they propose a welfare state based on generous and compensatory policies (pension, child benefits and unemployment benefits).

(長期勤続者や年金受給者の国民のような)「値する者」にとっては、ポピュリスト急進右翼は保護主義的な福祉国家のロジックを擁護してくれる。これらの人々にとっては、彼等は寛大で補償的な政策(年金、児童手当、失業給付)に基づく福祉国家を提起してくれる。

But the radical right proposes that the ‘undeserving’ (for example, foreigners and nationals seen as not contributing enough to the nation, such as the long-term unemployed) should not have full access to collective resources. Instead, they believe this group should remain subject to state discipline and surveillance. Such people’s access to social benefits should be conditioned by ‘workfare’ policies and the strong policing of welfare abuse. Although not introduced by the populist radical right, this coercive approach to the moral obligation to work fits aptly with its authoritarian rhetoric.

しかし急進右翼は、(例えば外国人や、長期失業者のように国家に十分貢献していない国民のような)「値せぬ者」は集団的資源にフルにアクセスできるべきではないと提起する。その代わりに、彼等はこのグループが国家の規律と監視の下に置かれるべきだと信ずる。かかる人々の社会給付へのアクセスは、「ワークフェア」政策と福祉濫用への強力な警戒によって条件付けられるべきである。ポピュリスト急進右翼によって導入されたわけではないが、この道徳的な労働義務への威圧的なアプローチはその権威主義的なレトリックと適合的である。

These positions on the welfare state are, moreover, not empty rhetoric. My work finds that radical-right populists do prioritise distributive issues once in power and that they do make a difference. In negotiations, parties push for policy reforms that align with their distributive agenda—and often succeed in influencing policy. ・・・

これらの福祉国家へのポジションは空疎なレトリックではない。拙著によれば、急進右翼ポピュリストは一旦権力を握ると再分配問題を最優先とし、違いを作り出す。交渉において、各政党はその再分配のアジェンダに沿って政策改革を推進し、屡政策への影響に成功する。・・・

We should not underestimate the impact of the radical right’s new vision for the European welfare state. Populist radical-right parties are transforming the moral dimension of welfare policies. They assert their agenda on issues previously ‘owned’ by mainstream left-wing parties. They also legitimise the idea that the welfare state should be reserved for the ‘deserving’ few. This contributes to the stigmatisation and ‘othering’ of various social groups.

我々は急進右翼の欧州福祉国家の新たなビジョンのインパクトを軽視すべきではない。ポピュリスト急進右翼は福祉国家の道徳的側面を改造しつつある。彼等はかつて主流の左翼政党によって「占有」されていた問題について彼等のアジェンダを主張する。彼等はまた福祉国家が少数の「値する者」のために取っておかれるべきだという考えを正当化する。これは様々な社会集団のスティグマ化と「よそ者化」に貢献する。

The new model of the European welfare state suggests that it is not merely legitimate for the state not to address poverty among its population—but that tackling poverty can be morally wrong. Feeding into the moral separation between ‘deserving’ and ‘undeserving’ is the legitimisation of unprecedented inequality—with the blessing of members of the same working class who have historically been supporters of redistribution, and the backing of mainstream parties.

欧州福祉国家の新たなモデルが示唆するところでは、国家が人口のある部分の貧困に対策を講じないことが単に合法的であるのみならず、貧困対策をすることが道徳的に悪であり得るのだ。「値する者」と「値せぬ者」の間に道徳的分割を導入することは、歴史的に再分配の支持者であり主流政党の支持者であった同じ労働者階級のメンバーの祝福を伴うかつてない不平等の合法化である。

The European welfare state has suffered many shocks since World War II, yet it has remained reluctant to accept high inequality or abject poverty among its population. This era, however, might soon be drawing to an end.

欧州福祉国家は第二次大戦後多くのショックをくぐり抜けてきたが、人口の間に大きな不平等や惨めな貧困を受け入れることにはずっと慎重であった。しかしながら今回はそれが終わりを迎えつつあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

所有に基づく格差(資本主義)に対する反動として、アイデンティティに基づく格差(アイデンティティ・ポリティクス)を唱道するという基本性向は、バラモン左翼と本質的に共通ですね。どのようなアイデンティティが上位、または、下位かという点は真っ向から対立する訳ですが。

今現在もスーダンの内戦がマスコミの話題になっていますが、欧州の場合、永続的な政情不安により、今や恒常的な難民の流出源となっているとしか思えない、中近東・アフリカ等々の多くの国々に取り囲まれていることが、極右勢力の伸長の大きな原因となっている、と考えられます。

 自分たちのホームグラウンドで滅茶苦茶な政治をのさばらせておいて、都合が悪くなったら、他人の家(欧州)に逃げてくる、というのはどこかおかしいんじゃないか、植民地支配の責任なんていう話はとっくにもう時効で、今の政治・社会の混乱はあんたたちの自己責任だろ、という多くの有権者が抱く感覚が、強硬な反難民政策を主張する極右への支持につながる、ということですね。メローニ政権が誕生したイタリアも、元の植民地だったリビアなど、地中海の対岸から数多くの難民が漂着し続けている国です。

 これに対する即効的な対策などは考えにくいところではありますが、やはりこれらの国々が政治社会の安定を取り戻し、経済の成長と生活水準の向上を実現していくようでないと、欧州において極右勢力を後退させることはできない、と思っています。

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