労働政策レポートNo.14『労働市場仲介ビジネスの法政策』
労働政策レポートNo.14『労働市場仲介ビジネスの法政策―職業紹介法・職業安定法の一世紀―』がJILPTのホームページにアップされました。
https://www.jil.go.jp/institute/rodo/2023/014.html
https://www.jil.go.jp/institute/rodo/2023/documents/014.pdf
約一世紀にわたる労働市場仲介ビジネスに対する規制の有為転変の歴史をたどり、職業安定法の将来像を考える上で役立つ情報を提供する。
400ページを超える分量の上、その大部分は明治初期以来の法令や通達の引用なので、多くの人にとってまともに通読するのは苦痛ではないかと思いますが、地の文の所だけでも拾い読みしていただければ、この100年以上にわたって激動の中にあった業界の歴史がくっきりと浮かび上がってくるのではないかと思います。
ま え が き
2022 年 3 月、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和 4 年法律第 12 号)が成立し、去る2022 年 10 月から施行されました。同改正法のうち労働法政策の観点から見て最も重要なのは、職業安定法の改正です。2017 年改正で打ち出された方向性をさらに明確化し、募集情報の的確性についての義務づけを求人者のみから雇用仲介事業者全般に拡大するとともに、雇用仲介事業者の個人情報保護を拡充するのに加え、募集情報等提供事業者に対する届出制の導入をはじめ、さまざまな規制をかけるに至っているからです。
しかも、今次改正のもととなった労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会報告では、IT 技術の進展に伴う新たな雇用仲介サービスの登場に着目し、人材データベース、アグリゲーター、SNS、スポットマッチング、クラウドソーシングなど幅広い仲介サービスに対する将来的な規制の在り方についても課題を提起しています。雇用の枠すらも超えて労働市場における人材仲介ビジネスが拡大していく中で、労働市場規制の基本法である職業安定法の行方からは目が離せません。
この職業安定法は終戦直後の 1947 年に制定された法律であり、既に 75 年を経過していますが、その前身に当る職業紹介法は第一次大戦後の 1921 年に制定されており、そこから数えると 102 年、つまりほぼ一世紀が過ぎたことになります。この約一世紀の間、労働市場規制とりわけ労働市場仲介ビジネスに対する姿勢は、まずは容認から規制、禁止へ、そしてその後は禁止から規制、容認へと大きく転換してきました。
本労働政策レポートは、この約一世紀にわたる労働市場仲介ビジネスに対する規制の有為転変の歴史をたどり、職業安定法の将来像をそれぞれに考える上で役立つ情報を提供しようとするものです。労働市場仲介ビジネスに関わる関係者のみならず、労働市場に関わる法政策の展開に関心を有するすべての方々に活用されることを期待します。
« なぜフランスは・・・・? | トップページ | 「男女間賃金格差」は、なぜなくならない?!日本におけるジェンダーギャップをひもとく ~世界と比べる『働く×ジェンダー平等』座談会【前編】~ »
« なぜフランスは・・・・? | トップページ | 「男女間賃金格差」は、なぜなくならない?!日本におけるジェンダーギャップをひもとく ~世界と比べる『働く×ジェンダー平等』座談会【前編】~ »
コメント