永田大輔・松永伸太朗・中村香住編著『消費と労働の文化社会学』
永田大輔・松永伸太朗・中村香住編著『消費と労働の文化社会学 やりがい搾取以降の「批判」を考える』(ナカニシヤ出版)をお送りいただきました。
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b619166.html
労働の変化を問い直しながら、様々な消費文化と関わる労働を描きだし、外在的な批判を超える多様な「批判」のあり方を考える
編著者の一人の松永さんについては本ブログや『労働新聞』の書評でも何回か取り上げてきたことがありますが
https://www.rodo.co.jp/column/99888/
他の方々のほとんどは、恐らくもっと若い世代の研究者です。キーワードは阿部真大から本田由紀が作り上げた「やりがい搾取」というキャッチーなコンセプトを、もう少し丁寧に現実に即してその実相を解き明かしていこうというところにあります。
一つ一つが独立した論考なのですが、一つだけ取り上げてみれば、第2章の林凌さんの「労働問題の源泉としての「新自由主義」? 」が、今日的な課題にかなり接近したところから「消費者主権」が労働者の権利にもたらすものを細かく論じています。
第2章 労働問題の源泉としての「新自由主義」?
労働者/消費者としての私たちをめぐって 林 凌
1 労働問題の社会学的記述と社会理論
2 批判的労働研究における問題のありか:「新自由主義」と「消費者主権」
3 繰り返される構図:「消費社会」批判と「新自由主義」批判の相同性
4 「消費者主権」のルーツとしての「国家問題」:労働者の権利と消費者の権利の対立
5 労働問題の源泉を探り出すために
あと、本ブログで裁判例をいくつか拾ってきたアイドルの労働については、上岡磨奈さんの「芸能という労働」が面白かったです。
第8章 芸能という労働
「アイドル・ワールド」において共有される情熱の価値 上岡磨奈
1 アイドルという仕事
2 アイドル研究で語られてきたもの,こなかったもの
3 研究の対象と方法
4 アイドルの世界における時間,報酬,感情
5 むすびにかえて
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