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2023年3月28日 (火)

EU賃金透明性指令は今月末に成立?

昨年12月15日に、内容的には欧州議会と閣僚理事会の間で合意されたと報じられてから3か月以上経ち、どうなっているのか全然情報が流れてこなかったのですが、どうやら明日からの欧州議会の本会議に合意されたテキストが上程されるようです。

https://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/ATAG/2023/745699/EPRS_ATA(2023)745699_EN.pdf

https://www.europarl.europa.eu/plenary/en/texts-submitted.html

REPORT on the proposal for a directive of the European Parliament and of the Council to strengthen the application of the principle of equal pay for equal work or work of equal value between men and women through pay transparency and enforcement mechanisms 

https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/A-9-2022-0056_EN.html

時間割によると、3月30日の午前9時からのセッションに出されるようなので、日本時間ではその日の夜であり、結果が分かるのは翌日になりますが、異論なく了承されれば、EU賃金透明性指令が今月末には成立することになるかも知れません。

280_h1_20230328135101 この指令案については、去る3月15日に刊行された『季刊労働法』2023年春号に寄稿した「労働法規制手法としての情報開示」の中で、欧州議会と閣僚理事会の合意テキストに基づいてかなり詳しく解説していますので、関心のある方は是非読んでみて下さい。

4 賃金透明性に関するEU等の動向
 
 さて、2022年省令改正で注目された男女賃金格差の開示は、「賃金透明性」として近年世界的に注目される政策課題となってきています。以下ではその動向をごく簡単にまとめておきましょう。
 国際的な動きの中軸にあるのはEUの立法政策です。欧州委員会は繰り返し男女賃金格差の問題を取り上げてきました。2003年9月4日の「欧州労働市場における男女賃金格差-測定、分析と政策含意」は、EU労働市場にはなお男女間の賃金格差が見られると指摘していますし、2007年7月18日の「男女賃金格差に取り組む」は、全く同一の労働に対する直接的な差別は稀になったが、同一価値労働に対する同一賃金の原則には現行指令が効果的でないと述べ、曖昧な賃金構造と他の労働者の賃金水準についての情報の欠如がその原因だと指摘しています。欧州議会も2008年11月18日の「男女同一賃金原則の適用に関する欧州委員会への勧告に係る決議」において、賃金の透明性を求める措置と性中立的な職務評価・職務分類制度の導入を求めました。
 こうした流れの中で、欧州委員会は2014年3月7日、「透明性を通じて男女同一賃金原則を強化する欧州委員会勧告」(2014/124/EU)を発出しました。同勧告は加盟国に対し、次のような賃金透明性政策をとるよう促しています。すなわち、同一労働又は同一価値労働を行う被用者範疇ごとに男女別の賃金水準の情報を入手する権利、50人以上企業が定期的にこれら情報を提供する義務、250人以上企業が賃金監査(各被用者範疇の男女別割合と職務評価・分類システムの分析)を受ける義務などです。この勧告で「同一価値労働」とは、教育、職業、訓練の資格、技能、努力、責務、労務、課業の性質などの客観的な基準に基づいて評価、比較されるべきものとしています。また、ジェンダーバイアスのある賃金体系を見直し、性中立的な職務評価・分類システムを導入すべきとしています。
 2019年に欧州委員会の委員長に就任したウルスラ・フォン・デア・ライエンはその「政治指針」の中で、最低賃金法制やプラットフォーム労働者の労働条件と並んで、「就任100日以内に拘束力ある賃金透明性措置の導入」を約束しました。それから1年以上過ぎて、2021年3月4日になってようやく、欧州委員会は「賃金透明性と執行機構を通じて男女同一労働又は同一価値労働に対する同一賃金の原則の適用を強化する欧州議会と理事会の指令案」(COM/2021/93)を提案しました。
 同指令案は欧州議会と閣僚理事会で2年近く審議され、2022年12月15日に両者の合意がなり、その後文言整理を経て、2023年の早いうちに「賃金透明性と執行機構を通じて男女同一労働又は同一価値労働に対する同一賃金の原則の適用を強化する欧州議会と理事会の指令」が成立する予定です。以下ではこの指令の内容を概観していきたいと思います。 ・・・

 

 

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