尾形强嗣『「非正規雇用」について考える』
JILPTの労働大学校長の尾形强嗣さんが『「非正規雇用」について考える』というブックレットを刊行しました。
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/booklet/05.html
今次コロナ禍は非正規雇用で働く多くの人々を直撃し、その雇用不安や処遇・キャリア形成などに改めて関心が集まっています。「働き方改革」の中でも、この働き方を肯定・否定いずれに捉えるかを巡り重要な方向性が示されましたが、非正規雇用が増大し、働く人の4割近くになったことは、福祉国家体制を支えてきた伝統的雇用システムに対する大きな挑戦でもあるでしょう。改めて、「非正規雇用」について、その概念、生まれ育ってきた歴史と背景、問題点、対策の経緯、現状などを概観しつつ、読者とともに、一からこの問題を考えたいと思います。なお、本問題に関し、エポックとなる重要文書などを巻末資料として収録しました。
尾形さんは、私の後にEU日本政府代表部一等書記官として勤務した方です。
序章 コロナ禍の直撃を受けた非正規雇用の人々
Ⅰ 「非正規雇用」とは何か
Ⅱ 非正規雇用活用の歴史と現在
(1)非正規雇用前史
(2)新しいタイプの非正規雇用の登場(非正規雇用激増の背景)
(3)近年における非正規雇用増加の特徴
①大企業における非正規雇用の増加
②アルバイトの急激な増加
(4)数字で辿る非正規雇用拡大の歴史(現在まで)
Ⅲ 非正規雇用を選択する理由・背景
(1)企業側ニーズの背景
(2)非正規雇用で働く理由
Ⅳ 非正規雇用の問題点
(1)働く者の実態とその問題点
(2)経済社会全体の視点からの問題点
(3)労使関係、「労使自治」に与える影響
Ⅴ 非正規雇用に関する国の対策(沿革)
(1)対策前史
(2)第二世代の登場と問題の本格化
①パート労働対策(パート法制定まで)
②派遣労働対策(派遣法制定まで)
(3)規制改革の政治潮流(派遣法等の規制緩和を巡る動向)
(4)若年者雇用問題からの政策展開(非正規雇用問題への気づき)
(5)格差問題の沸騰と眼差しの変化
①パート法改正(2007年)による均等・均衡処遇の明文化
②派遣労働者保護に向けた規制強化の動き(2008年改正法案まで)
(6)リーマン・ショックへの対応(2008~9年)
(7)民主党中心政権下での動き(本格的な非正規雇用対策の策定へ)(2009~12年)
①「望ましい働き方ビジョン」(2012年)
②非正規雇用労働者保護を目的とした法制的検討
(8)政権交替後の(現在に至る)非正規雇用対策(2013年~)
①前政権の流れの補完・修正
②働き方改革と「同一労働同一賃金」の再登場(2016年~)
Ⅵ 非正規雇用対策の現在
Ⅶ 非正規雇用にビジョンはあるか
あとがき
参考文献
関連年表
資料編
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