定年前解雇者の定年後解雇無効判決による地位確認
これは、登場人物が大月隆寛さんという有名人なので、そのことにより注目を集めた解雇裁判ではありますが、それだけではなく労働法学的にも興味深い論点を含んでいます。
https://www.bengo4.com/c_18/n_15667/(懲戒解雇された大月隆寛元教授、札幌国際大に勝訴)
NHK『BSマンガ夜話』の司会などで知られる民俗学者の大月隆寛さんが、学内対立をめぐり教授として勤務していた札幌国際大学から懲戒解雇されたのは不当だとして、解雇無効などを求めていた訴訟は2月16日、札幌地裁で判決があった。
中野琢郎裁判長は、解雇は違法で無効だとし、大学側にバックペイ(解雇期間中の賃金相当額)と慰謝料50万円の支払いを命じた。
労働法学的に興味深い論点はここです。
大月さんは、裁判中に定年の63歳を迎えた。裁判では、定年後再雇用の成否も争点となったが、解雇事由がないことなどから、雇用が継続されるものと期待することに合理的な理由があるとして、現在についても、定年後再雇用された教職員としての労働契約上の地位にあると認めた。
判決文はまだ見られていないので、どういう理屈建てになっているのかはわかりませんが、おそらく高年法に基づき65歳までの継続雇用が義務付けられていることを根拠に、63歳定年後も65歳までは雇用が継続されることになっていたはずだと判断したのでしょう。ただ、「定年後再雇用された教職員としての労働契約上の地位」の確認というのは、具体的にどのような雇用条件で再雇用されたものと認定されたのか、興味をそそられます。
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