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2023年2月 2日 (木)

ミヒャエル・キットナー著・橋本陽子訳『ドイツ労働法判例50選 ― 裁判官が描く労働法の歴史』

Large_a9881ddf6cfc43d0aa53719fbdd3954e ミヒャエル・キットナー著・橋本陽子訳『ドイツ労働法判例50選 ― 裁判官が描く労働法の歴史』(信山社)をお送りいただきました。

https://www.shinzansha.co.jp/book/b10026938.html

重要50判例の歴史的背景とその後の判例・立法の展開を解説。各判例が現在と将来にもたらす先例的価値が分かり易く理解できる。

ドイツ版『労働判例百選』みたいなものかと思うかも知れませんが、全然違います。学者一人で編んだという点では大内伸哉さんの『最新重要判例200』と共通ですが、そもそも最新どころか、百年以上昔の判例も載っています。

まさに副題にもあるように、ドイツ第二帝国(ライヒ)時代から、ワイマール共和国時代の判例まで載っていて、「労働法の歴史」を判例という切口から叙述する歴史書の趣があります。

・序文
◆序 章
◆ライヒ時代
  1 争議行為の威嚇は脅迫である
  2 キールのパン屋のボイコット
  3 アルトナの木材労働者のストライキ:労働協約
◆ワイマール共和国
  4 キール路面鉄道事件:経営リスク
  5 鉄道員のストライキ:官吏のストの禁止
  6 「ルール鉱山ストライキ」
  7 労働者概念
  8 任意性の留保 

戦後の連邦共和国時代の判例には、私もEU労働法でお目にかかった懐かしいものがいくつも取り上げられています。男女均等指令の間接差別に関わるビルカ事件判決、事業移転の既得権指令に関わるシュミット事件判決、年齢差別に関わるでっち上げ事件のマンゴルド事件判決などです。

驚いたのは、企業活動の自由と労働組合活動の相克が問題となったいわゆるラヴァル・カルテットから、ラヴァル事件とバイキング事件と取り上げていることで、これらはそれぞれスウェーデンとフィンランドの事案で、ドイツに関わるのはリュッフェルト事件なんですが、ここではあえて有名な両事件の方を取り上げていますね。

◆連邦共和国
◆個別的労働法
  9  同一賃金
  10 独身条項
  11 労働者の責任
  12 客観的事由の不要な期間の定め
  13 償還条項
  14 事業所年金:期待権の不喪失
  15 現業労働者と職員
  16 継続就労請求権
  17 教会の労働者
  18 「ビルカ」事件:間接差別
  19 「企業決定」と解雇
  20 「代理商」事件:損なわれた契約対等性
  21 深夜労働の禁止
  22 「クリステル・シュミット」事件:事業移転
  23 「マンゴルド」事件:年齢差別
  24 「ハイニッシュ」事件:公益通報
◆共同決定
  25 効力要件としての共同決定権
  26 「鍋理論(Topftheorie)」
  27 共同決定法は合憲である
  28 「企業決定」と共同決定
  29 「技術者報告システム」事件:コンピュータによる監視
  30 操業短縮における提案権
  31 協約外給付への算入
  32 事業所委員会の差止請求権
  33 「ブルダ」事件:労働組合の差止請求権
  34 団結の自由と「中核領域」
  35 協約単一性
  36 労働組合の概念
  37 差異化条項
  38 算入禁止条項
  39 ドイツ労働総同盟の仲裁裁判所
◆争議行為
  40 新聞スト
  41 大法廷1955年判決
  42 シュレスヴィッヒホルシュタイン州のストライキ
  43 エアヴィッテのザイベル社における職場占拠
  44 ロックアウト
  45 「冷たいロックアウト」:争議行為リスクと共同決定
  46 警告スト
  47 「冷たいロックアウト」:雇用促進法116条
  48 機関士のストライキ
  49 「バイキング」事件/「ラヴァル」事件
  50 「フラッシュモブ」
◆エピローグ―法の継続形成(判例法理)の限界
    ―  ―  ―
◇ミヒャエル・キットナー教授インタビュー
◇訳者解説
・索 引 

日本でも誰か、戦前の判例から始めて、日本の労働法の歴史を判例を中心に描くというような本を書きませんかね。

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