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2023年2月19日 (日)

ロシアで流行る陰謀論

Se6 日本でも様々な陰謀論がもてはやされ消費されていますが、戦争当事国のロシアでも、妙ちきりんな陰謀論が流行っているんだそうです。

例によってソーシャル・ヨーロッパから、アンナ・マトヴェーヴァさんの「Conspiracies, detachment and confusion in Russia」(ロシアの陰謀論、隠遁、混乱)というエッセイから。

https://www.socialeurope.eu/conspiracies-detachment-and-confusion-in-russia

The reality of the war is so absurd that rational explanations aren’t enough, so the collective mind turns to fantasy. Conspiracy theories abound, even among well-grounded individuals.

戦争の実相はあまりにも馬鹿馬鹿しいので合理的な説明は十分ではないゆえ、集団心理は幻想に向かう。陰謀論が、まっとうな人々の間ですらはびこってる。

One theory centres on a clandestine government that rules the entire world; its members are mostly secret, though they include (before her death) Queen Elizabeth II and the Pope. According to such views, the war in Ukraine is a plot by a shadowy cabal and Putin and the United States president, Joe Biden, are puppets manipulated by puppet-masters. In another variant, the pro-war and pro-peace camps are actually global oligarchies battling each other for world dominance and Ukraine is a mere theatre for their struggle.

ある理論は、全世界を支配する秘密政府に焦点を向ける。そのメンバーはほとんど秘密だが、その中には(生前の)エリザベス2世と教皇も含まれる。かかる見解によれば、ウクライナの戦争は陰に隠れた秘密結社のプロットであり、プーチンとバイデン米大統領は操り人形師によって操られている操り人形なのだ。もう一つの説では、戦争賛成派と戦争反対派は実際には世界支配をめぐってお互いに争っているグローバルなオリガルヒであり、ウクライナは彼らの戦いの劇場に過ぎないのだ。

Other conspiracy theories centre on Putin himself, amid doubts over whether he is a real person or a collection of doubles, as reflected in a new saying: ‘He is no longer himself, or rather, not quite himself.’ Alternatively, Putin is real but he is a necrophiliac determined to take Russia with him when he comes to his natural end. Or he is an Anglo-Saxon agent placed to ruin Russia from within. Or the Kremlin is overrun by occult forces who influence key decisions, in the same way that the tsar Nicolas II was influenced by the ‘mad monk’ Rasputin during the first world war.

他の陰謀論はプーチン自身に焦点を当て、かれがリアルな人間なのかそれとも複数の者の集まりをめぐる疑問の中で、「彼はもはや彼自身ではない、いやむしろ十分に彼自身ではない」という。さもなければ、プーチンはリアルだが、その生命としての死を迎えるときにロシアを道連れにする屍姦者なのだ。あるいは、彼はロシアを中から破壊するために送り込まれたアングロサクソンのエージェントなのだ。あるいは、クレムリンは決定的意思決定に影響を及ぼすオカルト的な力によって支配されている、ちょうど第一次大戦時に皇帝ニコライ2世が怪僧ラスプーチンに影響されていたように。

Such conspiracies cannot be blamed on state propaganda but reflect confusion and collective trauma. They provide an explanation (however far-fetched) for the bewildering reality and also a hope that those who started the war can quickly end it. 

こうした陰謀論は国家のプロパガンダにおいては非難されえないが、混乱と集団的トラウマを反映している。これらは(いかにこじつけであっても)途方に暮れる現実に対し説明を提供し、そして戦争を始めた者たちがすぐにそれを終わらせることができるのだという希望をも提供してくれるのだ。

というわけで、

そう、陰謀論とは、どんなにねじけたものであっても、絶望的な状況にある者に希望を提供してくれるものなのですね。だから世に陰謀論が終わることはない、どんなに馬鹿馬鹿しいものであっても。

 

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コメント

 思いっきり笑わせていただきました(笑)
 そう言えば一時話題になった陰謀論を笑いのめす「と学会」の元会長でSF作家の山本弘さんの2000年に出版された「トンデモ大予言の後始末」と言う本に自称予言者の預言として「ロシアのエリツィン大統領は年末に亡くなるだろう。もし生きているとすれば超常的な方法で無理に生かされているはずだ」と言うのがありました。
 それに山本さんが「おお、僕らの見ていたエリツィンは超常的な方法で生かされていたのか⁉(笑)」と突っ込んでいたことを思い出しました(笑)

 「と学会」シリーズは様々な陰謀論が載っていて大笑いしましたが、時代は変われど、場所は変われど陰謀論にハマる人はたくさんいるのだなあ、とhamachan先生の記事を読んで改めて思いました。

ドイツではライヒスビュルガー陰謀論に煽動されたクーデター未遂がありましたね。
まるで日本のGHQ陰謀論みたいで、アメリカのQアノンといい、過激活動家はどこの国でも似たような発想になるのかと愚考してしまいました。

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