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2023年2月 9日 (木)

LGBTと人権擁護法案(再掲)

またぞろ似たような状況になっているようなので、またぞろおなじみの話を持ち出すしかないようです。ただ一つ修正が必要なのは、「16年も前の」というところを「21年も前の」と改める点だけでしょうかね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/lgbt-7b3d.html(LGBTと人権擁護法案)

いろいろと世間が騒がしいようですが、LGBTと言われる性的指向に係る差別や侮辱、嫌がらせ的言動については、16年も前の2002年の段階で、当時の自民党政権から提出された人権擁護法案に、ちゃんとこういう規定があったことを、覚えている人はどれくらいいるでしょうか。

http://www.moj.go.jp/content/000104841.pdf


(定義)
第二条 ・・・
5 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。

(人権侵害等の禁止)
第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
一次に掲げる不当な差別的取扱い
イ国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ロ業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ハ事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)
二次に掲げる不当な差別的言動等
イ特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
ロ特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動
三特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為
二人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為

こういう立派な法案が、なぜ成立することなく、今では忘れられてしまっているかって?

それはもちろん、当時の野党、つまり今でも野党になっている民主党、社民党等が反対したからです。また、有力マスコミもメディア規制が入っているのがけしからんと、揃って反対しました。それで廃案になり、その後は今度は自民党の中から猛烈な反対論が出て、ついに出せなくなり、潰したはずの民主党が政権についてから法案を出し直したけれどもやはり廃案、今に至るというわけです。

悪い奴らが出す法案はことごとにそのアラを暴き立てて潰すに限ると思い込んでいる方々も多いようですが、うかつにやるとこういう結果になるといういい実例です。

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コメント

 民主党はかつて公的年金は破綻する、と言って政権取ったら年金制度を変える、と言っておりました。
そして民主党政権になったので早速厚生労働省に試算させたら民主党案の方がむしろ現状よりもひどくなることが分かってしまい、結局制度変更は諦め、公的年金制度を表立って批判することもしなくなりました。

まあ、この公的年金制度も自民党の河野太郎さんが出来るわけもない積立方式にこだわってこの前の総裁選で四面楚歌になりましたが。

民主党にせよ、河野さんにせよ、票狙いで「反対陣営が作った制度はすべて間違っている」「古い制度は全て新しい制度に変えないとダメ」と安易に言うものではない、と言う事が分かってなかった、あるいは今も分かってない、のでしょうね。

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