ジョブ型とメンバーシップ型の世界史的源流@『三田評論』2023年2月号
明治31年から続く慶應義塾の機関誌 『三田評論』2023年2月号が「日本の“働き方”再考」という特集を組んでいまして、そこにわたくしも小論を寄稿しております。
https://www.keio-up.co.jp/mita/202302/
「ジョブ型」って本当は何? 巷間よく言われる雇用の形態を指すこの言葉ですが、日本では様々な使われ方をしているようです。「働き方」は本当に毎日の生活に関わるもので、働く側も、会社側もよりよい働き方を模索し続けているのだと思います。コロナ禍のテレワーク導入も絡み、まさに激変期にある「日本の働き方」が向かう先はどこなのでしょうか。
座談会 多様な働き方と雇用形態の変化が向かう未来とは
坂爪洋美 法政大学キャリアデザイン学部教授・塾員
野間幹子 国分グループ本社執行役員社長室長兼経営統括本部部長 仕事における幸福度担当・塾員
高橋菜穂子 ノバルティスファーマ・ポルトガル人事統括ディレクター・塾員
森安亮介 みずほリサーチ&テクノロジーズ主任コンサルタント・塾員
八代充史(司会)慶應義塾大学商学部教授関連記事
ジョブ型とメンバーシップ型の世界史的源流 濱口桂一郎 労働政策研究・研修機構労働政策研究所所長
リモートワークは日本人の働き方をどう変えるか──ジョブ型と、もう一つの選択肢 太田 肇同志社大学政策学部教授
人々を幸せにする「雇用流動化」とは? 中村天江連合総合生活開発研究所主幹研究員
「転居のない転勤」という働き方──「あたらしい転勤(リモート転勤)」プロジェクトの試み 水野英樹三菱地所プロパティマネジメント株式会社人事企画部ユニット長
プロ人材を活用する組織、プロになれる人材 大西利佳子株式会社コトラ代表取締役・塾員
https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/features/2023/02-2.html
私が2021年9月に『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)を出版したのは、現在世間で流行しているジョブ型論にはあまりにも多くの誤解や間違いが氾濫しているからです。まず認識してほしいのは、ジョブ型は決して新しいものではなく、むしろ古くさいということです。こういうことを聞くと、「何を言っているのか。古くさく、硬直的で、生産性の低い日本の雇用システムであるメンバーシップ型をやめて、柔軟で生産性の高い、新しいジョブ型に移行すべきであるという説が流行っているではないか」と思われるかもしれません。確かに今、ジョブ型という言葉を弄んでいる人たちの多くはその手の主張を展開していますが、それは間違いで、ジョブ型の方がメンバーシップ型よりも古いのです。ジョブ型がどのくらい古いかというと、少なくとも100年、200年ぐらいの歴史があります。18~19世紀に近代産業社会がイギリスを起点に始まり、その後ヨーロッパ諸国、アメリカ、日本そしてアジア諸国へと徐々に広がって行ったわけですが、この近代社会における企業組織の基本構造が、ジョブに人をはめ込むジョブ型なのです。・・・
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