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2023年1月26日 (木)

地方議員への立候補のために入営者職業保障法はいかが?

総務省及び三議長会から経団連に対して、勤労者が地方議会議員に立候補しやすい環境を整備するため、各企業の状況に応じた自主的な取組として、就業規則において、立候補に伴う休暇制度を設けることや、議員との副業・兼業を可能とすること等について要請があったそうです。

https://www.keidanren.or.jp/announce/2023/0126_shiryo1.pdf

1 地方議会議員選挙において、勤労者が容易に立候補をすることができるよう、各企業の状況に応じ、就業規則について必要な見直しを行い、立候補に伴う休暇制度を設けることや、立候補した勤労者に対し解雇や減給等の不利益な取扱いをしないこととしていただくこと。

2 企業に勤務しながら議員活動を行うことができるよう、各企業の状況に応じ、就業規則における副業・兼業に係る規定の見直しや明確化を行うことにより、議員との副業・兼業を可能としていただくこと

これは、市民としての公共的な活動に労働者の時間と能力を貢献してもらいたいという政治の問題と企業の事業活動のために労働者を雇っているんだから余計なことはやらずに働いてもらいたいという経済の問題の交錯する領域です。似たような話に裁判員としての活動との調整などもありますが、実はこの手の話の一番本丸に位置するのは、戦後はなくなりましたが戦前は成人男子の義務として存在していた兵役との調整です。

そして、おそらく戦後生まれの人々の知識の中にはほとんど存在していないと思われますが、戦前の日本では兵役と企業労働との調整のために入営者職業保障法という法律まで作っていました。

11021851_5bdc1e379a12a_20230126223001 拙著『日本の労働法政策』から関係個所を引用しておきます。

  兵役服務者の復員後の就職確保の問題はかねてから意識されていたが、昭和初期の不況の中で深刻な社会問題となった。そのため、1931年入営者職業保障法が制定され、除隊者の復職を保障しようとした。同法はまず第1条で「何人ト雖モ被傭者ヲ求メ又ハ求職者ノ採否ヲ決スル場合ニ於テ入営ヲ命セラレタル者又ハ入営ヲ命セラルルコトアルヘキ者ニ対シ其ノ故ヲ以テ不利益ナル取扱ヲ為スヘカラス」と均等待遇を求めた上で、第2条で「雇傭者ハ入営ヲ命セラレタル被傭者ヲ解雇シタルトキ又ハ被傭者ノ入営中雇傭期間ノ満了シタルトキハ、其ノ者カ退営シタル日ヨリ三月以内ニ更ニ之ヲ雇傭スルコトヲ要ス」と、雇入れの義務づけを行っている。もっとも、陸軍では2年、海軍では3年を超える期間の服役を志願して採用された場合などいくつかの例外が規定されている。この場合の労務及び給与は入営直前の労務及び給与と同等でなければならず、これは被傭者が解雇されずに復職する場合にも同じである。
 これはもとより徴兵制のあった時代の法制ではあるが、より広く国家社会の需要と企業の雇用行動とを調和させようとする法制の先駆的事例として、現代にも示唆するところは多いように思われる。

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