毎勤の賃金上昇を決めているのはベア。定昇ではない@中井雅之
JILPTの緊急コラムに、中井雅之さんが「毎勤の賃金上昇を決めているのはベア。定昇ではない」を書いています。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/031.html
文字通り、タイトルが述べている通りの内容ですが、「そんなのあたりまえやろ」と言わずに読んでください。
もう長いこと、どれくらい賃上げしたのかを「定昇込み」で何%という風習が続いていますが、それでみると、定期昇給はずっとほぼ2%前後で変わっていない。それに対してかつてはそれなりの割合を占めていたベースアップは2000年前後からほぼゼロに張り付いていて、第2次安倍政権下での官製春闘の時期にほんの0.5%ほどに上がっていた程度。
で、労働組合も定昇込みで賃上げ幾らというけれども、それって本当に賃上げなのかを、毎月勤労統計の数字と重ね合わせて確認しようというのが、この中井さんのコラムの眼目です。
毎勤の所定内給与の増減という客観的な指標と照らしあわせて見れば一目瞭然、マクロ経済的に正味の賃上げといえるのは定昇抜きのベア部分だけであって、定昇込み何%という数字は、現実の賃上げラインの遥か上の方を空虚にたゆたっているだけなのですね。
もちろん、個々の労働者個人にとっては、去年の給料よりも今年の給料が幾ら上がったかというのは定昇込みの数字なので、それだけ賃上げしていると思えてしまうのでしょうが、いうまでもなくその定昇部分というのは、毎年、一番高い人々が抜けていって、一番低い人々が入ってくることで、会社にとってはチャラになっているわけであり、それを全部足し合わせたマクロ経済でも全部合算すればチャラになっている(年齢構成の変動部分は一応抜きにして)ので、個人の主観における賃上げは社会の客観的な賃上げではないということになるわけです。
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