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2022年12月16日 (金)

岸田首相の深慮遠謀?

国防費をGDPの2%まで引き上げ、その財源として増税するという岸田首相の政策に、これまで国防を何よりも重視すると思われていた右派、タカ派の面々が揃って増税反対と大声を張り上げている姿は、なかなかに興味深い姿でしたが、よく考えてみると、これはもしかしたら岸田首相の深慮遠謀なのかも知れないと思えてきました。

そもそも、わたしにはあまり土地勘のない分野なので、微妙な感覚とかは分からないのですが、国家を守ることこそが何よりも大事で、そのためにはいろんな物事を犠牲にするのもやむを得ない、キリッ、というのが右派、タカ派というものの存在意義だったのではないか、そしていやいや国防ばかりが大事じゃないよ、社会経済のあれやこれやも大事だからちゃんとそっちにもお金を回してね、というのが左派、ハト派というものだったのではないか、と、まあ、すごく単純に考えていたのですが、今回、まるっきり話が逆転してしまったように見えます。

党内の右派、タカ派だと自認していたような人々が揃いもそろって、国防といえども増税は許さないぞ!断固反対とばかり騒いでいて、首相官邸前で騒いでいる昔ながらの伝統的平和主義者の皆様と共闘でもしているかの如くです。

逆に、国防をないがしろにするハト派じゃないかと猜疑心でもってみられていた岸田首相が、なんと国防費突出、それも国民の血税で断固やり抜くという立派なタカ派ぶりをアピールしているわけで、これって、反対の声が高ければ高いほど、それにへこたれずに国防の大義を貫いているかのように見せることができるわけで、そう考えると、一見そうは見えないけれども、実は岸田首相の深慮遠謀で、わざと党内の右派、タカ派を増税反対で釣って、そういう銭金しか考えない連中と違って自分を国防派に仕立て上げるシナリオだったのではないかと、思えてくるのです。

いや勿論、全くの素人の勝手な妄想に過ぎませんが。

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コメント

hamachan先生、お気持ちよく分かりますし、大いに共感します。
まあ、岸田総理も権力の椅子に座ったがゆえの現実的判断でやってるだけなのはミエミエではありますが、それでも自民党の自称右派の人たちよりははるかにまし。
自称右派の元親玉の安倍元総理にしても時期は延期したとは言え、アベノミクスの発案者クルーグマン、スティグリッツ両教授に「消費税増税は止めろ」と止められたにもかかわらず財政赤字を増やし過ぎないために増税に踏み切ったわけですから。

この際だから言いますが、社会保障充実を主張しつつも三党合意を忘れて消費税減税を主張していた立憲民主党をはじめとする野党陣営の中には岸田総理に「National Securityのために増税するのであればSocial Securityのためにも増税して財源を確保していただきたい。NationalとSocialの違いはあれど同じSecurityなのだから共闘しましょう」ぐらい言える人はいないのでしょうか。
 と言うか、これが本当の左派の主張だと思います。
 NationalであれSocialであれSecurityをきちんとNationalの責任で充実させる。そしてその財源は税/taxで確保する。そしてtaxをどうするかについて議会と言う公開の場で堂々と議論するのが左派のあるべき姿ではないでしょうか。

 今回の国防費の増税問題、あるいは社会保障費の増税問題で本来右派と左派を分かつ論点の一つは権威主義的vs連帯・協同・参加 と言う事になるでしょうか。

 岸田内閣のやり方はどこで議論が行われているのかよく分からないままに一方的に決定されているあたりが権威主義的と感じます。これは安倍政権でもそう言う面がありました。
 ただ、日本では減税ポピュリズム、「減税を求めている大衆」におもねる議論が蔓延っているので安倍・岸田内閣が権威主義的な方向に行ってしまうのも仕方ない面はありますね。

 左派は「連帯・協同・参加」と言う論点からすれば井手英策さんが「痛みを分かち合う」と言っているように社会保障、公的サービスにいくらかかるかを具体的に明らかにして議員の選挙、議会の討論などで予算、税金について公開の場で議論して決めていく。そして公的サービスなどを執行する際にも議会の監視、パブリックコメントなどで参加を求めていく、と言うのがあるべき姿でしょう。

 しかし議員の選挙、議会の討論の場で「減税を求めている大衆」の幻影におもねっているのが日本の左派の現状です。
 ところが世論調査でも公的サービスを充実するのであれば増税もやむなし、と言う声は多数で立憲民主党など野党も減税を主張してもむしろ最近は負けている。
 左派が「減税を求めている大衆」と言う幻影に未だにおびえているのが問題なのでしょう。
 

その、肝心のsocial security(社会の安全保障)の方は、同じ日に全世代型社会保障構築会議が報告書出したにも拘わらず、お金の工面は先送りで、マスコミもベタ記事にしかしてくれず、誰も社会保障のことなんて真面目に考えてくれていなかったということをあからさまにしてしまいました。

こちらは依然として、バカとアホとワルの世界のままのようです。

balthazar殿

>岸田総理に「National Securityのために増税するのであればSocial Securityのためにも増税して財源を確保していただきたい。NationalとSocialの違いはあれど同じSecurityなのだから共闘しましょう」
ぐらい言える人はいないのでしょうか。

全く同感です。
岸田文雄氏は昨年の自民党総裁選挙の際に
   金融所得に対する税率を引き上げて税収を増やし、中間層や低所得者に配分する
事を主張しました(高市早苗氏も同様の主張をしていたと思います)
ですから野党は
 「総理! 総裁選でのご自身の公約を思い出して下さい!! 一緒にあの公約を実現させましょう!!!」
と言えばよいと思いますが。


>左派は「連帯・協同・参加」と言う論点からすれば井手英策さんが「痛みを分かち合う」と言っているように

社会が存続していくためには、その社会の参加者が「連帯・協同・参加」という精神で「痛み(負担)を分かち合う」事は必要だと思います。しかしなぜ分かち合う「痛み(負担)」を金銭(税金)に限定するのかが理解できません。
社会が存続していくために分かち合う「痛み(負担)」は金銭だけではないと思います。子育てや介護も社会が存続していくために必要な「痛み(負担)」だと思います。”駕籠に乗る人、担ぐ人…”ではありませんが、子育てをしている人は子育てという負担を、介護をしている人は介護という負担を、どちらもせずに収入の高い人は金銭という負担を担当する事によって社会が存続していくと思います。
子育てや介護で金銭的余裕のない人から「痛みを分かち合う」という名目で金銭(税金)を供出させるのは、多くの時間を仕事に費やして高収入を得ている(金銭的余裕はあるが時間的余裕がない)人から「痛みを分かち合う」という名目で(子育てや介護に強制参加させて)時間を供出させるのと同じくらい不合理だと思います。


>世論調査でも公的サービスを充実するのであれば増税もやむなし、と言う声は多数で

私はその世論調査に関してはよく知りませんが、その調査では
  公的サービスを充実するのであれば(法人税や所得税等ではなく)消費税の増税もやむなし
という声が多数だったのでしょうか?


>立憲民主党など野党も減税を主張してもむしろ最近は負けている。

仰るように、立憲民主党等の野党は減税を主張して選挙に負けました。しかし選挙に勝った政党は増税を主張していたのでしょうか?
野党が消費税の減税を主張したのは、コロナ禍での所得減少や円安等による物価上昇で困窮する人への支援の手段としてだったと思います。選挙に勝った与党は減税は主張しませんでしたが多額の給付を行いました。困窮する人への支援の手段としては減税でなくても給付で良い と考える人が多かったので野党の減税の主張はあまり支持されなかったのだと思います。
balthazar殿は給付についてはどのようにお考えですか?

>同じ日に全世代型社会保障構築会議が報告書出したにも拘わらず、お金の工面は先送りで、マスコミもベタ記事にしかしてくれず、誰も社会保障のことなんて真面目に考えてくれていなかった

全世代型社会保障構築会議の報告書に関しては、朝日新聞では12月15日に 全世代型社会保障構築会議が大筋で取りまとめた報告書案 の内容について、「少子化対策先送り」 「医療の負担増先行」 という見出しで記事にしています。
これに関連して、残高が足りず子供の高校の授業料が口座から引き落とせず銀行からメッセージが来た という五十代女性を取材した記事がありました。この女性は共働きだそうですが所得制限で授業料補助が適用されないそうです。高校生の子供の授業料に年70万円、塾代に年80万円、大学生の子供の仕送りに月に8万円かかるそうです。この女性は
  うちのような共働きでも子供は2人が限度。少子化にもなります。
  より幅広い層の子供を支援してほしい
と述べていました。確かに所得制限が適用されるくらいの高収入でも子供2人に毎月20万円以上支出していては、子供をさらに産んで教育費の支出をこれ以上の増やすのは困難かもしれません。しかし月20万円の支出のうち公費でどの程度支援すべきかに関しては、いろいろな意見があるかもしれません。

憎税タカ派が「財務省の陰謀」「国債発行で済ませろ」「景気がまだ回復していない」「他の無駄を削ってそれを財源にしろ」など毎度お馴染みの主張を展開していますね。
やはりと言うべきでしょうか。

防衛費の増額には痛み(増税)が伴うという状況をワンセットにして、無制限の防衛費拡大に歯止めをかけた、と見るのは穿ちすぎでしょうか?タカ派と呼ばれる人達が揃って「増税反対」と言うのは、国民に防衛費の中身を詮索されたくないからと、疑ってしまいます。その意味で、岸田総理はハト派なんだと認識しています。(財務省のレトリックに乗せられた、という疑いも持っていますが。)

岸田総理の本音は「安倍さん、よくも俺にこんなに難しい宿題を押し付けましたね」と言うところなんでしょうけれども
 
 岸田総理でまだ良かったのかもしれないです。
 安倍派政権だったら「防衛費の財源も全部国債だ!」「国債は全部日銀に消化させろ!」でしょう。
 そして憎税野党(^^;が仮に政権についていたら「消費税減税だ!」「ウクライナ戦争があったとはいえ防衛費がこんなに増えるとはけしからん!」となって党内分裂と言う10年前の民主党政権の悲劇を繰り返したかも(^^;

 岸田政権の後の後を担うべき左派勢力の側も安倍政権の置き土産をどうするか、問われていますね。

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