佐藤厚『日本の人材育成とキャリア形成』
佐藤厚さんより『日本の人材育成とキャリア形成―日英独の比較』(中央経済社)をお送りいただきました。
https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-43841-7
教育制度(職業教育訓練)と労働市場との関係に注目しながら、人材育成とキャリア形成の仕組みを考察し、さらにイギリス、ドイツとの比較を通じて日本の特徴を明らかにする。日本の特徴をあぶりだしながら、ジョブ型雇用、自律的キャリア、社会人の学び直しや生涯学習といった近年の課題に示唆を与える。
日本のメンバーシップ型と比較対照する相手がイギリスとドイツの二カ国であるという点に、著者のツボがあります。佐藤さんに言わせれば、イギリス(やアメリカ)はジョブ型といえるけれども、ドイツは職業型であって、それらとは違うのです。
例えばホワイトカラーのキャリア形成にしても、日本が「一つの会社に長く勤め、だんだん管理的な仕事になっていくコース」が主流であるのに対し、イギリスは「複数企業を経験して、だんだん管理的な仕事になっていくコース」であり、ドイツは「一つの会社に長く勤め、ある仕事の専門家になっていくコース」であって、ある意味イギリスとドイツが対照的で、それぞれ部分的に日本と共通している面があるというわけです。
なぜ各国がこのようになってきたのかという歴史については、先日『労働新聞』の書評コラムで取り上げたキャスリーン・セーレンの『制度はいかに進化するか-技能形成の比較政治経済学』を引きながら説明しています。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2022/11/post-ebf318.html
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