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2022年10月21日 (金)

正社員の初任給に最低賃金が迫るのは異常事態なのか?

いや別に、筆者の溝上さんやメディアのビジネスインサイダーに文句をつけているというよりも、それを「異常事態」だと脊髄反射的に感じてしまう日本人の「常識」に疑問を呈したいのです。

https://www.businessinsider.jp/post-260734(正社員の初任給に「最低賃金が迫りつつある」異常事態。このままでいいのか?)

・・・正社員の給与が上がらない日本だが、今や行政が主導する「最低賃金の引き上げ」が、正社員の賃金の上昇を上回り、最低賃金に応じて給与を引き上げるという事態すら起きている。

・・・それだけではない。上がらない賃金を象徴する異常な事態も発生している。正社員の賃金を非正規主体の法定最賃が徐々に追い上げているのだ。

・・・もちろん最賃アップの影響を受ける社員の中には大企業の非正規社員も含まれているが、正社員の中で最も影響を受けているのが高卒初任給だ。

たぶんここまで読むと、ほとんどの読者はなんていう異常事態だ、と思うでしょう。

でも、これに続けて溝上さん自身が書く通り、この事態は日本で最低賃金が始まった頃の業者間協定時代の状況なのです。

・・・そもそも日本の最低賃金制度は1959年、当時多かった中卒初任給の最低額を決定する業者間協定方式の法制化に由来する。

・・・つまり最賃の出発点は中卒初任給を下回らないとする、まさに最低の賃金水準だった。ところが今や高卒初任給が最賃を下回るという60年前の状況に逆戻りしているのだ。まさに異常事態というしかない。

それを異常事態だと認識するということは、そもそも正社員とパート・アルバイト等非正規労働者とは隔絶しているべきであり、正社員の最低クラスも非正規のベテランよりもずっと高給であるべきだと、無意識のうちに思い込んでいるということでもあります。

いかに均等だの均衡だのいったところで、根っこにそういう思い込みがある以上、同一労働同一賃金なるスローガンが空疎な看板でしかないのはあまりにも当然のことといえましょう。

最低賃金法が出来た60年前は、政府の国民所得倍増計画が同一労働同一賃金による職務給の導入を唱道していた時代でもあります。

当時の最低賃金は、中卒初任給と臨時工の両方を睨むような存在でした。

その時代のごく普通の感覚を異常としてしか認識し得ないような長い年月を、われわれ日本人は過ごしてきたということがよく分かります。

もちろん、日本の賃金が30年間上がらないでいることの異常性はきちんと論じられるべきですが、それを「正社員の初任給に最低賃金が迫る異常事態」という回路でしか認識できないとすれば、そのこと自体の異常性にも気が付いた方がいいのではないかという気もします。

 

 

 

 

 

 

 

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