岸田文雄は池田勇人の夢を見るか または 職務給の見果てぬ夢
本日の読売新聞に、「年功給から「職務給」移行」という記事が出ています。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221003-OYT1T50001/
政府が月末に策定する総合経済対策のうち、「新しい資本主義」にかかわる施策の概要がわかった。職務を明確にして専門性や能力を重視する「ジョブ型」雇用の普及に向け、仕事内容で賃金が決まる「職務給」の採用を促す。日本で長年続いてきた年功制の雇用形態からの移行を図る。
近く開かれる「新しい資本主義実現会議」(議長・岸田首相)で取りまとめる。
賃金について、日本企業では年功制の「職能給」を採用するケースが多い。中長期的に賃金水準を引き上げるため、働き方や給与形態を見直す姿勢を明確にする。成長分野に人材が移りやすくするため、副業を認める企業名を公表するほか、転職を積極的に受け入れる企業への支援を強化する。
こうした施策の具体的な進め方について、政府と経済界が来年6月までに指針を策定する。
先週土曜にニューヨーク証券取引所での発言を受けて書いたことが急速に進んでいるようです。
これは、実は同じ広島県出身の宏池会の大先輩の池田勇人元首相時代の国民所得倍増計画で力説されていた話の62年ぶりの復活でもあるのですが、さてどうなりますか。
・・・・労務管理制度も年功序列的な制度から職能に応じた労務管理制度へと進化して行くであろう。それは年功序列制度がややもすると若くして能力のある者の不満意識を生み出す面があるとともに、大過なく企業に勤めれば俸給も上昇してゆくことから創意に欠ける労働力を生み出す面があるが、技術革新時代の経済発展を担う基幹的労働力として総合的判断に富む労働力が要求されるようになるからである。企業のこのような労務管理体制の近代化は、学校教育や職業訓練の充実による高質労働力の供給を十分活用しうる条件となろう。労務管理体制の変化は、賃金、雇用の企業別封鎖性をこえて、同一労働同一賃金原則の浸透、労働移動の円滑化をもたらし、労働組合の組織も産業別あるいは地域別のものとなる一つの条件が生まれてくるであろう。
ちなみに、旧日経連もこの当時は同一労働同一賃金原則に基づく職務給を唱道していました。
・・・賃金の本質は労働の対価たるところにあり、同一職務労働であれば、担当者の学歴、年齢等の如何に拘わらず同一の給与額が支払われるべきであり、同一労働、同一賃金の原則によって貫かるべきものである。・・・職務給の本質は、同一価値労働同一賃金原則の近代的賃金原則を企業内における各職種の質的相違に対する経営としての一定の秩序付けに応じて賃金の適正な差異を設定し、全体として均衡のとれた賃金体系を確立するところにある。・・・その職務をどの程度に且つどの位遂行する能力なり、また実際遂行したかという労働能力と労働成果-従業員としての労働力の担い手の内容に対する評価は含まれていない。
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所信表明演説
「年功制の職能給から、日本に合った職務給への移行」日本に合った職務給?
似非ジョブ型だったりして。
投稿: ほぺいろ | 2022年10月 4日 (火) 08時11分
中小企業ではジョブ型雇用になってるそうですね。
でもその中小企業の給与は低い。
3年前の東洋経済オンラインのこの記事が参考になるかもです。
https://toyokeizai.net/articles/-/305116
投稿: balthazar | 2022年10月 5日 (水) 05時52分
年功序列型の賃金構造を改めて、能力重視の「ジョブ型」に切り替えていくそうですが、この方針と「構造的な賃上げ」は両立するのかどうか。ますます賃金格差が広がりそうな。。。
投稿: green | 2022年10月 5日 (水) 07時13分
9月24日(土)の記事(「岸田首相のジョブ型」)にもコメントさせていただきましたが、「構造的な賃上げ」ができるようにするためには、労働運動のあり方も変わらなければなりませんね(2019年1月5日(土)付:新産別とは何だったのか?)。
投稿: SATO | 2022年10月 5日 (水) 11時23分
職務でいくなら
同職務が
(米国の職業辞典参考にしてもよいし)
いったい
OECDで どれだけ違うのか
メディアが比較してみたら
賃上げなのか
賃下げなのか
わかるかもね
投稿: ほぺいろ | 2022年10月 7日 (金) 10時54分
岸田さん
既に新しい資本主義なのか
資産倍増論なのか
どうなったのか、どうするのか
わからないまま経済対策だなんだで予算出してるけど
所信表明の職能から職務む
当然公務員からやるんですよね。
https://www.bengo4.com/c_5/n_15163/
投稿: ほぺいろ | 2022年10月30日 (日) 07時59分