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2022年9月 6日 (火)

公立大学法人附属学校の教師に給特法は適用されるか?

なんだかやたらにトリビアな話題のように見えますが、考えれば考えるほどよく分からなくなります。

公立大学はその名の通り、「公立」です。ですから、公立大学附属学校に勤務する教員は給特法、正式名称は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の適用対象であるはずです。

ところが一方、全てではありませんが多くの公立大学は地方独立行政法人法に定める公立大学法人になっています。この公立大学法人は、法律上一般地方独立行政法人、つまり非公務員型と定められています。言い換えれば公立大学に勤務する教員は地方公務員ではなく民間人です。

同法上には「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」という規定はありますが、逆に言えばそれ以外の法律の適用上は公務員ではありません。従って、労働基準法も完全にフル適用されます。この点では国立大学法人やその附属学校と同じです。

とすれば、公立大学法人の附属小学校、中学校、高等学校等の教員は、国立大学法人の附属小学校、中学校、高等学校等の教員と全く同じ立場であり、労働基準法フル適用であるはずです。

ところで、かつては国立学校も対象に含まれていた給特法は、国立学校の法人化に伴って国立学校を適用対象から外しました。法律の題名もこの時に変わっています。

ところが、その後地方独立行政法人法に基づいて公立大学が非公務員型の公立大学法人に変わっていっても、給特法の規定に変化はありませんでした。確かに、現在でもなお法人化していない公務員型の公立大学というのも存在しているので、法改正はしにくいのでしょうが、逆に公立大学法人化したところについても、労働法令の適用関係については法制的な手当がなされないままになっているように思われます。

給特法の規定は、給特法の適用対象である公立学校の教員が全て公務員であることを大前提として書かれたままになっていますが、その前提の通用しない非公務員型の公立大学附属学校の教員というのが、この日本国の法制度上は歴然と存在しているのです。

給特法の規定ぶりからして、公務員ではない公立大学附属学校の教員も同法でいう「公立の義務教育諸学校等の教育職員」であることは間違いないのですが、そもそも彼らは公務員ではないのですから、「教育職員については、地方公務員法第五十八条第三項本文中「第二条、」とあるのは・・・・・」と一方的に読み替えられたところで、読み替えられるべき地方公務員法がそもそも適用されていないのですから、読み替えようがありません。

公務員ではない彼らには労働基準法がフル適用されているので、地方公務員法の読み替え規定が空振りになったら、37条の時間外・休日の割増賃金の規定がそのまま適用されているはずです。

ところが、にもかかわらず、地方公務員法の読み替え規定ではない給特法の規定は、空振りせずに「公立の義務教育諸学校等の教育職員」である彼らにも適用されるため、100分の4の教職調整額の規定は適用されるということになるはずです。

ということは、数少ないとはいえ現実に存在する公立大学法人附属学校の教員の皆さんは、労働法上は民間人なので部活指導も含めて働いた時間外・休日労働分の残業代は全て支払われる上に、給特法も適用されるので100分の4の教職調整額も支払われるということになるはずだと思うのですが、それで間違っていませんよね。

(追記)

超法匪的な議論なので、以下は法律関係者以外はスルーして結構です。

わたしは昨年のさいたま地裁の判決の評釈の中で、その屁理屈は無茶苦茶だと批判しながら、しかし原告の主張を認めることはできないと論じました。

http://hamachan.on.coocan.jp/saitamaken.html

それは、給特法の二つの規定には趣旨目的だけではなく対象となる事象においても牽連性があり、それゆえ超勤4項目以外の時間外労働については元の規定が復活して労基法37条が適用されるというのが原告の主張なのですが、そういう風には解釈できないからです

リンク先ではその理由を縷々述べていますが、実は本エントリで明らかにしたように、給特法の規定のうち、地方公務員についてのみ労基法37条の適用を除外する部分と、民間人も含めて4%の調整額を支給することとは対象者の範囲において既にずれが存在するのであり、その段階ですでに牽連性は残念ながら存在しないんですね。

 

 

 

 

 

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コメント

公立大学法兵庫県立大学では、兵庫県立大学規程集(https://www.u-hyogo.ac.jp/outline/rules/regulations/index.html)の中に、「兵庫県公立大学法人教職員給与規程」(https://www.u-hyogo.ac.jp/outline/rules/regulations/pdf/46kyousyokuin_kyuuo1.pdf)があって、第35条の3に、「義務教育等教員特別手当」が掲げられていますね。これのことでしょうかね。

兵庫県公立大学法人教職員給与規程を見ていくと、第15条の2にそのものの「教職調整額」がありますね。附属高校と附属中学校の教師だけに支給されます。

(教職調整額)
第 15 条の2  職員のうちその属する職務の級が第6条第1項第3号の高等学校教育職給料表又は同項第4号の中学校教育職給料表の3級、2級又は1級である者には、給料月額に 100 分の4を乗じて得た額を教職調整額として支給する。

一方で、第26条には「超過勤務手当」があります。

(超過勤務手当)
第 26 条 超過勤務手当は、正規の勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた教職員に対して、その勤務した全時間について支給する。勤務時間等規程第 14 条に規定する休日(勤務時間等規程第 15 条第1項の規定により代休日を指定されて、当該休日に勤務した教職員にあっては、当該休日に代わる代休日。以下「休日等」という。)等において、正規の勤務時間中に勤務を命ぜられた教職員についても、また同様とする。

ところが、これが付属高校と附属中学校の教師には適用除外されているのですが、

(超過勤務手当に関する規定の適用除外)
第 31 条 第 26 条の規定は、次の各号に掲げる者には適用しない。
(1)管理職手当を受ける教職員(次号に掲げる者を除く。)
(2)教職員のうち第6条第1項第3号の高等学校教育職給料表又は同項第4号の中学校教育職給料表の適用を受ける者
2 前項の規定に関わらず、第1号の者については、第 26 条第3項の規定を適用する。

さて、この規程は、合法的なのでしょうか。
たぶん兵庫県立大学法人の当局は、公立学校法人も給特法の適用を受けるからと単純に考えたのでしょうが、非公務員であり地方公務員法の適用を受けない者に、地方公務員法の読み替え規定は適用のしようがないはずで、私の理解ではこの規程は労基法違反です。

誰かこの付属高校か附属中学校の先生が裁判でも起こさないかな。

早速ご教示いただきまして誠にありがとうございます。兵庫県立大学だけ挙げるのはフェアじゃないと思って、公立大学法人高崎経済大学と附属高等学校を見繕いました。
大学自体の規程はここ(https://www.tcue.ac.jp/leafpage/kitei_jinjiromu.html)に、公立大学法人高崎経済大学職員給与規程(https://www.tcue.ac.jp/files/leafpage/leafpage-505-6.pdf)があるわけですが、附属高等学校の兵庫県立大学に相当する規定が無くて、高崎市本体の条例例規のデータベースから検索したところ、高崎市立高崎経済大学附属高等学校管理規則 (http://ted.city.takasaki.gunma.jp/reiki/reiki_honbun/e203RG00000424.html)が出てきて、冒頭に、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第33条の規定に基づき、高崎市立高崎経済大学附属高等学校(以下「学校」という。)の管理運営の基本的事項に関し必要な事項を定める」とあるように、附属高等学校は公立大学法人と別立てなんでしょうかね。

この規程は、令和3年の改正まですべて教育委員会規則第〇号となっていますね。
ということは、高崎経済大学は2011年に公立大学法人化したけれども、付属高校は法人の一部にはならず、高崎市立の普通の高校に移行したということなのでしょうか。
だとすると、その教師は高崎経済大学の教授たちと異なり地方公務員なので、給特法がフルに適用されるということになりそうです。

実をいうと、東京都立大学が首都大学東京という名前で公立大学法人化する際も、それまで都立大学附属高校だったものが都立桜修館中等教育学校となり、やはり法人の一部にはなっていませんね。全国的にはこちらの例の方が多く、兵庫県立大学みたいに附属高校や附属中学校まで全部まとめて公立大学法人化した方が少ないのかもしれません。、

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