フォト
2022年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

« 『POSSE』51号はジョブ型特集 | トップページ | 公立大学法人附属学校の教師に給特法は適用されるか? »

2022年9月 6日 (火)

流動化を否定するあまり交渉力を失った労働組合

9784909237736_600_20220906085301 昨日紹介した『POSSE』51号ですが、他にも引用したくなる名台詞がけっこう点在しています。

鼎談の次に載っている今野さんと中村天江さんの対談「経団連のジョブ型推進と労働組合の交渉戦略――雇用の流動化により労働条件の交渉力は高まる⁉」の、「流動化を否定するあまり交渉力を失った労働組合」という一節でのやりとりは、戦後型企業別労働組合にとって厳しい言葉が並びます。

今野 興味深いですね。もともと日本の労組は解雇なども絶対に反対してきましたが、世界のスタンダードだと、絶対反対ではなくて、どのようなルールで解雇するかが焦点になります。日本は降格も絶対に反対です。条件交渉がジョブ的なものに接近していけば、恐らく労使交渉も成立するのでしょうが、歴史的には絶対反対した結果、すべて経営が決めるようになっています。

中村 私自身は、雇用の流動化に消極的なことは、労働組合にとっても望ましくないと考えています。なぜなら、労組の交渉力の源泉は「労働力」だからです。

経営側が組合の要求に応えないのであれば、「ストを打って仕事を止める」と言えることが、労働者側の力の源泉です。しかし、いまやストライキはほとんど行われていません。ストをせずに労組が交渉力を発揮するには、「問題を改善しなければ、従業員が辞める」と警鐘を鳴らすことです。しかし、日本では円滑な労働移動も容易ではない。ストライキや労働移動といった対抗策がなければ、労組は、経営側の意向に沿う形でしか合意ができないため、労働者側の要望を実現するのが困難になります。

こういうことは、古典的な労使関係論の教科書にはみんな書いてあることですが、そもそも労使関係論という学問分野がすたれきり、労働組合とはそもそもその原初形態ではなんであったかという基礎知識が、企業メンバーシップにどっぷり浸かった労働組合員自身の脳みその中からも完全に消滅しきった現在においては、こういう台詞はまことに新鮮に聞こえるのでありましょう。

9-1_20220906085501 拙著『働き方改革の世界史』の冒頭に出てくるウェッブ夫妻の本なんかも、まあほとんど読まれていないでしょう。

ところが、恐らくそういう知識とはほぼ完全に断絶しているであろう今日の若い世代の行動が、意外なほどかつての姿に近づいているというのが、同じ号の後ろの方に載っている青木耕太郎さんの「既存の労働組合運動の「外側」で広がる新しいストライキとコミュニティユニオンの役割」です。

ここで紹介されているのは、保育園の園長によるパワハラに対して保育士が集団一斉退職した事件ですが、それが従来からのストライキの認識に合わないけれども実はストライキなんだと主張しているのですが、実を言えば、上記ウェッブ夫妻の本に出てくるように、ストライキ(同盟罷業)とは、労働者が仕事を拒絶して辞める「各個罷業」を集団的にまとめてやることであり、要するに言葉の定義上まさしく「集団一斉退職」なんですね。ストライキは雇用契約が断絶するというのがそもそも出発点で、それがやがて断絶しないという法的構成になっていくのです。このあたり労働法制史の教科書に詳しく書かれています。

 

 

 

 

« 『POSSE』51号はジョブ型特集 | トップページ | 公立大学法人附属学校の教師に給特法は適用されるか? »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 『POSSE』51号はジョブ型特集 | トップページ | 公立大学法人附属学校の教師に給特法は適用されるか? »