ジョブ型正社員は有限責任正社員
法学部で商法を勉強したらみんな習うことだが、会社法には「無限責任社員」と「有限責任社員」という言葉が出てくる。いうまでもなく日本国の法令上「社員」とはすべて出資者という意味なので、これらも出資者としての責任をどこまで追うか、出資額までかそれ以上会社の損失全てかという意味なのだが、法学部を一歩出ると日本型雇用の世界では「(正)社員」というのは労働者(のかなりの一部)を指す言葉として定着してしまっているので、初学の学生たちは戸惑うことになる。
が、そこを逆手にとって、職務も勤務時間も勤務場所も無制限がデフォルトのメンバーシップ型のいわゆる「無限定正社員」を、ちょっとだけひねって「無限責任正社員」と呼び、それらが限定されているジョブ型のいわゆる「限定正社員」を、「有限責任正社員」と呼んでみることもできそうな気がする。
本来は雇用契約を結んで労務と報酬の交換をするだけのはずが、気が付けば正社員という名のもとに会社の無限責任を負わされていたなんてのは、考えてみればなかなかシュールな世界なのかもしれない。
« 『DIO』378号 | トップページ | AIの「見えざる手」を「見える化」する »
素晴らしいネーミングですね。
でもいまだにメンバーシップ型雇用形態の方が大変そうだけど出世できるし、給与も上がるから良いじゃん、と言う幻想を持っているらしい多くの日本人には
「有限責任正社員だって?「有限責任」だと?会社は俺をその程度にしか見てくれてないのか!だったら無限責任正社員の方が良いじゃん!」とかえって逆効果になりそうでコワいのですが(^^;
日本人はいまだに自分の所属する組織、すなわちムラ社会に対する無限の忠誠心を発揮しようとしている人が多そうなのでこのように考えてしまうのです(^^;
投稿: balthazar | 2022年9月 3日 (土) 18時52分
株主は有限責任だから、報酬を株式で受け取る場合であっても
特段の特約がなければ、無限責任にはなりませんよね
報酬を株式で受け取ることによって、メンバーシップが発生を
する訳ではない。「所有=メンバーシップ」でないとも言える
「社員」という語の正式用法も、実はミスリーディングである
投稿: 本会 | 2022年9月 3日 (土) 20時47分
どうも,実質的には雇用されているのに契約上は業務委託契約,
そして,支店長となるために弁護士法人の無限責任社員となっているものです。
心をえぐられました。
https://twitter.com/allizdoa/status/1566258814932123648?s=20
弁護士山中理司のブログ
弁護士法人
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/04/20/bengoshi-houjin/
ご存じかと思いますがこちらをご参考までにどうぞ。
投稿: allizdoa | 2022年9月 4日 (日) 12時03分
おぉ、本当の無限責任社員の方が降臨されました
投稿: hamachan | 2022年9月 4日 (日) 18時08分
ブログの内容とはずれますが、こんなブログがありましたね。
部下の心身をぶっ壊す日本人的なマネジメントは、もういい加減に止めなければ。
https://blog.tinect.jp/?p=77935
投稿: ぼる | 2022年9月 8日 (木) 16時54分