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2022年9月 1日 (木)

労働協約に基づく賃上げこそが労働組合の社会的使命@ドイツVer.di

Img_month_20220831234201 『生活経済政策』9月号は、山口二郎さんらによる座談会「2022参院選総括と今後の展望」が特集ですが、長いわりにあまり興味を引く話題もないので、その次に載っている「ドイツ合同サービス労組(Ver.di)チーフエコノミスト、ヒルシェル博士と、立憲民主党国会議員との対話」を紹介しておきます。題して「労働協約に基づく賃上げこそが労働組合の社会的使命」。日本の労働組合からはあまり聞かれなくなったセリフです。

ただ、このヒルシェルさんとのやり取りを見ていくと、日本の左派とドイツの左派との微妙なしかし重要な「ずれ」が垣間見えて、なかなか面白いです。

ヒルシェル:・・・ドイツは社会的インフラのために投資が必要であり、情報社会や現代社会に適合した福祉国家の近代化のためにも投資が必要であるが、財政的な問題からそれを怠ってきた。・・・・

質問:今話を聞いて非常に驚いている。というのも、ドイツはEUの中では勝ち組として、そして財政でもプライマリーバランスでは達成以上の成果があり、優良なパフォーマンスを誇る国家ということになっている。しかし今の話を聞くと、それは経済成長があったから優良な財政ができたということではなく、必要な社会的インフラへの投資がなかったからということになる。本当にそういう理解でいいのか。

ヒルシェル:実際に過去20年間、公共輸送の領域、エネルギー転換への投資、学校教育あるいは保育所などの整備と人員配置、病院などの医療施設と人員確保、毎年こうした領域で必要とされる投資が行われてこなかった。財政赤字を避けるためである。さらに連邦法で財政赤字の上限を設定しており、その枠内で財政支出を行うためである。・・・・

質問:何か話を聞いていると、日本のように財政赤字を通してどんどん公共投資した方がいいということだが、日本も法人課税や高額所得者に対する増税ということはやってこず、現在大きな借金を抱えている。そういう日本の姿を見て、ドイツもそうなってもいいという考えなのか。それとも増税という手法で、国家財政を増やせばそうはならないということか。

ヒルシェル:・・・赤字国債による公共投資というと、それがもし成果のない単なる負債の増加に過ぎないのであれば、それは問題だが、しかしながら経済成長を伴った場合はそれはまた国庫収入に帰ってくるわけで、決してネガティブではなくポジティブなものになる。・・・

ここに表れている考え方の違いは、もちろん世界ワイドでは左派と右派の経済政策の典型的なものに過ぎず、特段興味を引くようなものでもないはずですが、相手側の立憲民主党の議員たちにとっては、ドイツの労働組合の頭脳が、こともあろうにアベノミクスを称賛しているかのように聞こえて、驚いたり疑ったりしているようです。このあたりの「ずれ」が、当人たちの意図に関わらず垣間見えるところが、この対話の面白いところですね。

 

 

 

 

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コメント

> ヒルシェル:・・・赤字国債による公共投資というと、それがもし成果のない単なる負債の増加に過ぎないのであれば、それは問題だが、しかしながら経済成長を伴った場合はそれはまた国庫収入に帰ってくるわけで、決してネガティブではなくポジティブなものになる。・・・

 こんなの、ちょっと考えれば分かるでしょうに(^^;
 立憲民主党の皆さんの頭の中が思いやられます。
 そりゃ確かにアベノミクスは金融緩和のやり過ぎで問題ありで見直しは必要です。

 しかしアベノミクスは何とかしないといけない一方で日本は社会保障をはじめとする公的サービスはいまだ貧弱です。
 その公的サービスを整備することはすなわち社会的投資である。
 社会的投資をすることである程度の経済成長は可能である。
 だから社会的投資した分も経済成長に結びつけば国庫に帰って来る・・・。
 …と言う思考法がないのでしょうか、立憲民主党の皆様方は。

 結局「自由民主党、そして政府のやる事はケシカラン!」とこぶしを振り上げただけである程度は当選できる、と言う構造に安住しすぎて頭を鍛えるどころか、頭が空っぽになってしまったんでしょうね(^^;
 そもそも「自民党、政府はケシカラン!」と言う愚痴を言い続けられるのは自民党、政府の政策が経済成長に結びついて相手の愚痴を聞くだけの余裕が出来ていたからでしょうに(^^;
 立憲民主党をはじめとする野党議員の皆さんの空っぽな頭ではそう言う事も分からないのか(^^;
 やれやれですね。

balthazar殿

>しかしアベノミクスは何とかしないといけない一方で日本は社会保障をはじめとする公的サービスはいまだ貧弱です。

以前に
  日本は社会保障をはじめとする公的サービスはいまだ貧弱なので、
  All for All の精神で消費税率を上げて公的サービスを整備するべきだ
という事を提唱された方がいらっしゃったと思います。


>その公的サービスを整備することはすなわち社会的投資である。
>社会的投資をすることである程度の経済成長は可能である。
>だから社会的投資した分も経済成長に結びつけば国庫に帰って来る・・・。
>…と言う思考法がないのでしょうか、立憲民主党の皆様方は。

もし
  公的サービスを整備することはすなわち社会的投資であって、
  (赤字国債の発行によって)社会的投資した分も経済成長に結びつけば
  国庫に帰って来る(から赤字国債の発行による公的サービスの整備は問題ない)
という思考法が正しいとすれば、消費税率を上げなくても赤字国債の発行によって公的サービスを整備すれば良い事になります。
つまり、All for Allを提唱された方は、立憲民主党の皆様方と同じくこのような思考法がないという事でしょうか?

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