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2022年8月20日 (土)

いやいや労働関係でいう「副業」とは、税法上の事業所得とは関係ないんだが

Img_47836148ed45d5152d8bc6452b71dee34956 ときどきおかしな記事が載るとはいえ、ダイヤモンドオンラインという、一応三大経済誌の一角を占めるネットメディアに、ここまでものごとの基本のキを理解していない記事が堂々と乗ると、いささか心配になります。というのも、完璧に間違っているだけでなく、そのまちがっている理由が小学生の国語レベルの勘違いだからです。

https://diamond.jp/articles/-/308207(国税庁「300万円以下は副業ではない」サラリーマンなら「2つ目の稼ぎ口」に今すぐ取り組むが大正解な理由)

 300万円以下の副収入の儲けは「事業所得」ではなく「雑所得」である旨、所得税基本通達に明記されることとなりました。パブリック・コメントを経て、令和4年1月から遡って適用されます。そこで今回は、この改正がサラリーマンの副業に及ぼす影響と、最も適切な対応策についてお伝えします。
 事業所得とは文字通り、「事業による所得」です。それが主たる事業なら「本業」、副たる事業なら「副業」です。それより小さい雑所得は、事業による所得ではないので、「副業による所得」になりません。強いて言うなら、「副業ごっこによる所得」です。だからその儲けは、事業所得ではなく雑所得となります。副業ではないので、会社に迷惑をかけない限り、就業規則違反にはなりません。
 税務署の実務上はこれまで、いくらまでが雑所得で、いくら以上が事業所得かの線引きが曖昧でした。でも、今回の改正で300万円という分岐点が明示されたので、とてもスッキリしました。・・・ 

国税庁の新通達が言っているのは、いうまでもなく税法上の事業所得と雑所得との線引きであり、それに尽きます。労働法で問題になる、就業規則で禁止したり制限したりすることがいいとか悪いとかという議論になる「副業」とは、ここが大事ですが、およそ全くいかなる意味でも何の関係もありません。

そもそも、労働法上で問題になる「副業」は、主として勤務する企業等以外で何らかの報酬を伴う活動全てをいい、他の企業で雇われて働く(税法上の給与所得)のも、独立自営業者として働く(税法上の事業所得)のも、その間のもろもろの報酬を伴う活動(ひっくるめて雑所得)も、全部労働法上の「副業」であり、就業規則違反になるとかその就業規則は無効だとかいうあれこれの議論が湧いてくるのもそのすべてです。

というようなことは、労働法のイロハのイなので、こんなところでシャカリキに書いていること自体が絶望的な徒労感を醸し出してしまうのですが、とはいえ、ここまで悉く間違っている記事が堂々と出て、

そうか!税務署で事業所得にならなければ「副業」じゃないので、就業規則違反にならないんだな、これはいいことを聞いちゃった!

と思い込む可哀そうな人が万が一にも出てきたらまずいので、徒労感を振り絞りながらこうやって書いているわけです。

たぶん、この記事の筆者は、「副業」の「業」という一字を見て、これは「事業」の「業」だと勝手に脳内で思い込み、事業でなければ「業」はないと心の底から信じ込んでしまったのでしょうね。

いやいや、そもそもその副業が違反になるとならないと言っている会社の規則のことをなんていいますか?

就「業」規則 ですね。

会社に雇われて働くのも立派に「業」なんです。

産前産後休「業」とか、育児休「業」とか、別に独立自営業者が子供ができたからといって自らの事業を休む話じゃありません。

かつて男女均等法以前に女性が禁止されており、今でも年少者が禁止されている夜中に働くことをなんと言うか。深夜「業」ですね。いうまでもなく、独立自営の年少者が徹夜して商品を一生懸命作っても、労働者ではないので、いかなる法律にも違反しません。

そういう、他社勤務も独立自営もその他もろもろも含めた「副業」を、これまでは就業規則で原則禁止するのが普通だったのを、原則容認に変えようというのが、働き方改革実行計画以来の5年間にあれこれ進められてきた政策なわけですが、そういうことにかかわりを持っている人が、この記事を読んで、どれだけ徒労感が噴出してきたか、ご理解いただけましたでしょうか。

(追記)

この記事に200件を超すブックマークがついているのですが、

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/diamond.jp/articles/-/308207

圧倒的大部分は、根っこから間違っているこの認識を何の疑いもなく素直に受け取った上でそれがいいとか悪いとか言っているだけで、そもそも根っこの認識からすべて間違っているとちゃんとわかっているコメントは、ざっと見る限りたった2件しかないようです。

例の『いちばんやさしいWEB3の教本』では、それでもIT業界の自浄作用が働いて絶版に追い込まれたようですが、こっちでは何事もないようで、こういうのが平然と通用していくのかと思うと頭がくらくらします。

 

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コメント

全体的には書籍はインターネットよりは信頼できる、それは出版社の評判に関わってくるからというのが従来の考え方だと思っていました。
ですが、インプレスやダイヤモンド社の例は、出版のインターネットへの優位性をドブに捨てる行為でしかありません。
何とかダイヤモンド社には信頼を回復する動きをしてほしいものです。

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