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2022年7月 6日 (水)

就職難でもマルクス専攻ならウハウハ@中国

Https___d1e00ek4ebabmscloudfrontnet_prod フィナンシャルタイムズ紙の皮肉たっぷりな記事

https://www.ft.com/content/36d34b2f-7f69-4224-8322-87d99a820f64(China’s Marxism majors prosper amid labour market woes)

Xi’s ideology drive is ensuring keen demand from companies and schools for graduates in communist theory

習近平のイデオロギー攻勢が企業と学校に共産主義理論専攻の卒業生への需要を強めている

Chinese university graduates are struggling to find work in the country’s worst labour market in years — unless they have degrees in Marxism.

中国の大学卒業生はこの国の最悪の労働市場状況の中で仕事を見つけるのに苦しんでいるーもっとも彼らがマルクス主義専攻でなければだが。

Despite being China’s ruling ideology, Marxism has for decades been an obscure major for students. But it is enjoying a revival under President Xi Jinping, who has urged Chinese Communist party cadres to “remember the original mission” as he prepares to begin an unprecedented third term in power this year.

中国の支配的イデオロギーであるにもかかわらず、マルクス主義は過去数十年にわたって学生の専攻としてはぱっとしないものだった。しかし今や、今年空前の第三期目を目指して中国共産党幹部に「初心を忘れるな」と説教する習近平主席のもとで復活を享受している。

“This is the golden time for Marxism majors,” said an official at the university, who asked not to be identified because he was not authorised to speak with foreign media.

「今はマルクス主義専攻者にとって黄金時代だ」と、外国メディアに喋る権限のないがゆえに身元を明かさぬよう求める大学の幹部は言う。

Private sector companies are also hiring Marxism majors in an effort to showcase their allegiance to the party in the wake of crackdowns on technology and property entrepreneurs such as Jack Ma, founder of Alibaba and Ant, and China Evergrande chair Hui Ka Yan.

民間企業もまた、共産党への忠誠の証としてマルクス主義専攻者を雇う。さもないとジャック・マーのように潰されるので。

Tong recently hired a Marxism expert to help his firm improve communication with local authorities. The hire had an immediate impact.

トンは最近、自社の地方政府とのコミュニケーションを改善するためにマルクス主義専門家を雇った。この採用はてきめんの効き目をもたらした。

Shortly after starting, the in-house Marxist showed Tong an “inappropriate” article in his company’s internal magazine that had criticised China’s draconian film censorship regime.

入社早々、この社内マルクス主義者はトンに、中国の厳格な映画検閲体制を批判した社内報の「不適切」な記事を指摘した。

・・・・・・・・

というわけで、現代中国においては、マルクス主義の職業的レリバンスは著しく高いようです。それが19世紀のひげ面のユダヤ系亡命ドイツ人の思想と何らかの関係をなお有しているかどうかは保証の限りではなさそうですが。

(参考)

ちなみに、中国共産党とマルクス主義との間のまことに「密接な無関係」については、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/200-994a.html(マルクス200年で中国が銅像っていう話)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-855b.html(中国共産党はマルクス主義がお嫌い?)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/post-0e60.html(中国共産党はマルクス主義がご禁制?)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-ba65.html(中国にとってのマルクス主義-必修だけど禁制)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-855d.html(中国左翼青年の台頭と官憲の弾圧)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-509022.html(マルクス主義と中華文明の共通性@潘岳)

こうしてみると、本心ではご禁制にしたいほど毛嫌いしている革命的なマルクスの思想を、共産党政権の正統性の根源たるご本尊として拝む屁理屈を作らなければならない党イデオロギー官僚のみなさんほど、脳みそを絞りに絞ってへとへとになる商売はこの世に外にはほとんどないように思われます。

まあ、時々、わざわざその中華ナショナリズムを断固として擁護してくれる奇特な日本人がいてくれるのがせめてもの慰めなのかもしれません。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-f2ea3d.html(資本主義批判はご法度@中国)

ついでに余計なことを言っておくと、ピケティがその資本主義批判の本の出版を断念した中国で、自分のマルクス礼賛本の翻訳が出たと自慢たらたらな、自分では反知性主義の反対だと思い込んでいるらしいおっさんがこちら。よっぽど、中国資本主義にとって無害な代物だと思われたんですね。それをまた恥じるどことか自慢してるんだから始末に負えない。ピケティの爪の垢を呑む気などはなからなさそうです。

「共産党員および領導幹部への推薦図書」の帯をつけて平積みにされているのですから、よっぽど中国共産党のお気に入りなんですね。読んでも上に出てくるまじめな左翼青年のような社会への疑問を持つことはないと、太鼓判を押してもらっているわけです。よかったね。

 

 

 

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コメント

これってマルクス主義専門家が王朝時代の儒学者みたいになってるということなんでしょうね

マルクス主義が儒学という国教に取って代わってマルクスと全然関係ない国家構造を正当化する教説になるというのも、実は戦後日本のマルクス主義が夢想していたようなことなのかもしれません

そう言えば中国は皇帝制度の下で優秀な官僚を選抜するため「科挙」を行ってましたが、この「科挙」と言うのは四書五経と言う、法律の制定や行政の運営に役立つのか怪しい「儒教」の経典を何年もかけて丸暗記しないと合格できないような難しい試験を課してませんでしたか?

中国共産党にとってマルクス主義とは現代版「科挙」の必須項目「四書五経」なんですよ(^^;
現代の偉大なる核心にして中華帝国皇帝たる習近平陛下(^^;が現代版「科挙」を潜り抜けた官僚たちをどのように扱うか、とくと拝見しようではありませんか(^^;

  皆様のおっしゃる通りですが、、そもそも中国では、伝統的に、人間は知性と教養があり、人格・識見ともにすぐれた、士(士大夫階級、科挙試験の合格者とその予備軍)とそれ以外の庶民(庶)という二種類のタイプからなり、この間には、人間本性に由来する絶対的な不平等が存在している、と考えるんですね。不平等こそが必然であり、士と庶を平等に扱うなどということは、複雑な社会の現実を理解しない、西洋人の考えた形而上学にすぎない、ということです。

 この考え方からすると、庶民に平等な権利を与え、政治に直接関与させたりすると、子供がおもちゃ箱をひっくり返したような、大混乱を生じるのは当然のことであって、そのような愚行(=民主主義の政治)は決してやってはならないことになります。

 理想の政治とは、皇帝を頂点とする士大夫階級が、体だけ大きな子供のような庶民のために、彼ら自身のためになることを考え、実行してあげることによって、官僚主義的に上からこれを指導・統制する、家父長制的な、民本主義的・恩情主義的ではあるが、反民主主義的・エリート主義的な政治であります(賢人統治の善政主義。裏をかえせば、愚民主義になります)。

 現在の中国共産党はもちろん、労働者・農民の政党などでは全くなく、支配エリートが一般の国民を指導・統制するための超巨大な官僚機構であり、従って、学校の成績が優秀な者においては、将来の出世を考えて自ら入党を希望したり、党の方から入党の勧誘があったりするわけですが、もちろん誰でも入党できるはずもなく、エリートとしての資質を厳格に審査されます(このあたりの事情については、最近出版された「中国共産党 世界最強の組織 1億党員の入党・教育から活動まで (星海社新書) 」を読んでください」)。

 この、エリートとしての資質を証明するものが、清王朝までの王朝時代においては、儒教の経典を正統な朱子学の解釈にのっとって理解していることでしたが、今日では中国共産党が公式に表明している「マルクス主義」なるものを共産党中央の理解する通りに正確に理解していることになったというわけです。
 
 中国共産党の公式見解としてのマルクス主義なるものは、漢民族ナショナリズム100%の内容もそうですが、その用いられ方についても、もはや全くマルクスとは無関係なものになっていると言って過言ではありませんね。

SATO様 詳しいご説明ありがとうございます。

中国の愚民主義については横山宏章「中国の愚民主義」平凡社新書を読んでいます。

 中国の愚民主義ですが、今ウクライナに侵攻しているロシアにも似たような思想として「大国主義」があるのかな、と言う気がしています。
 ソ連共産党のマルクス・レーニン主義は無知蒙昧な労働者階級を強い意志と高い知識水準を持った共産党員が指導する、と言う中国の愚民主義に似た考えですね。
 ロシアにマルクス主義が輸入され、広大な領土と国民、そして多様な民族を支配するのに好都合なようにロシアにもともと存在した「愚民主義」的な大国思想をレーニンがマルクス主義に導入した思想がマルクス・レーニン主義ではないかと思います。

 そしてマルクス・レーニン主義が顧みられなくなったあと、「愚民主義」的なロシア大国主義を露骨に打ち出してウクライナに侵略しているのがプーチン大統領なのだと思います。

マルクス主義とは、中華文明の「大一統」である、と解説されていた、あの潘岳氏(マルクス主義と中華文明の共通性@潘岳:2020年8月18日 (火))が、2022年6月24日付で中国の国務院(内閣)の、国家民族事務委員会(少数民族の権益保護を目的とする)の委員長となりました。

 世界中に悪名をはせた、ウイグル族・チベット族等に対する強権統治を多元一体の「大一統」の精神、ということで合理化することが、新たなお役目のようですが、果たしてどういう結果になりますでしょうか。
 まずは、お手並みを拝見させていただくことにしたいと思います。

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