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2022年6月 5日 (日)

規制改革推進会議の答申

去る5月27日に出された規制改革推進会議の答申は、今月にも規制改革推進計画として閣議決定される予定ですが、中の労働関係部分をざっと見ると、いくつか興味を惹かれるところがあります。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/opinion/220527.pdf

まず、別段私はいまさら興味を惹かれるわけではありませんが、世間ではびこっているインチキなジョブ型という言葉の使い方に対して、この規制改革推進会議は一貫してまっとうなジョブ型という言葉の使い方をしていることは指摘しておく必要があります。

ア 職務等に関する労働契約関係の明確化
【令和4年度中に検討、結論を得次第速やかに措置】
<基本的考え方>
これまでの「日本型雇用制度」のもとでは、使用者の命令による職務の変更や転勤が基本となるメンバーシップ型の雇用形態が大勢を占めてきたが、社会環境の変化に伴い雇用形態も多様化する中、我が国においても予め職務等が限定された、いわゆるジョブ型の雇用形態を取り入れる企業も見られるようになっている。
ジョブ型雇用において行われる、職務ごとに求められる能力・スキルや職務に対する賃金の明確化と、その内容の契約等への明示といった取組は、従業員の企業へのエンゲージメントを高めて、その関係強化に資するものでもあり、このような観点も踏まえて、企業におけるジョブ型雇用の実践を促進することは、個人の自律的・主体的なキャリア形成の実現に資すると考えられる。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。
<実施事項>
厚生労働省は、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」の報告書を踏まえ、労働政策審議会においては、職務や勤務地を限定するなど多様な働き方を取り入れる企業が出てきているといった雇用をめぐる状況の変化も視野に入れ、個人の自律的なキャリア形成に資する予見可能性の向上等の観点から、労使双方にとって望ましい形で労働契約関係の明確化が図られるよう検討を行い、必要な措置を講ずる。

で、興味を惹かれたのはその次の項目です。

イ 多様な働き手の長期的なキャリア形成に向けた能力開発支援
【a:令和4年措置、b:令和4年度措置、c,d:令和4年度検討開始】
<基本的考え方>
今後、更なる職業人生の長期化が見込まれる中、働き手である個人が、自身の長期的なキャリア形成について主体的に考え、取り組むことができるようにする環境整備が重要となっている。
個人の学び・学び直しの意欲を高め、自律的・主体的なキャリア形成につなげるためには、企業において従業員に求められる能力・スキルが明確化され、また、個人が身に付けた能力・スキルが適切に評価されることが必要である。
また、個人が長期的なキャリア形成について検討し、意思決定するに当たり、適切なキャリアコンサルティングを受けることは大変重要であり、キャリアコンサルタントに求められる役割は今後より重要となってくる。そのため、キャリアコンサルタント全体の質の向上を図り、職業人生の様々なステージにおいてキャリアコンサルティングが活用されるようにする環境整備が必要である。
さらに、雇用保険制度において実施している教育訓練給付制度は、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援するものであるが、今後、個人が継続的な学び・学び直しを行うことを一層支援する観点などを踏まえ、制度がより使いやすいものとなるよう必要な措置について検討する必要がある。
加えて、現在、国により行われている能力開発やキャリア形成支援に関する各種制度は、雇用保険制度が基盤となっており、非正規雇用やフリーランス、起業を志す人など雇用保険の被保険者とならない働き方を選択する人が支援の対象となっていない。働き方が多様化する中で、これらの多様な働き手への支援について、現行制度の枠にとらわれず広くその在り方を検討することが必要である。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。
<実施事項>
a 厚生労働省は、個人の能力開発・キャリア形成の目標が明確となるよう、各企業で職務に必要な能力・スキル等が明確化されることを求めるとともに、個人の学び・学び直しにより身に付けた能力・スキルについて適切な評価を行うことが望ましい旨を示した社会人の職業に関する学び・学び直しを促進するためのガイドラインを策定し、企業におけるこれらの取組を推進する。
b 厚生労働省は、キャリアコンサルタントの質の向上に向けて、中長期的なキャリア形成を支援するためのキャリアコンサルタント向けの研修を実施しているところ、個人が自身の長期的なキャリアパスについてのビジョンを持てるようなキャリアコンサルティングが着実に実施され、企業における活用が普及するよう、必要な措置を講ずる。
c 厚生労働省は、教育訓練給付制度について、雇用保険制度で実施している趣旨や給付の効果、受給者のニーズ等を踏まえ、必要な検証・検討を行う。
d 厚生労働省は、これまで雇用保険制度においてキャリア形成支援施策を行ってきたが、多様な働き方が普及する中、フリーランス等雇用保険に加入できない働き方を選択する人が支援策の対象とならない制度上の限界を踏まえ、多様な働き手に対するキャリア形成支援について既存制度の利用を促進するとともに、支援の在り方について検討を行う。

今までさんざん言われて耳タコのことも多いのですが、上で斜体字にしたところは、フリーランスの職業能力開発政策への取り込みとその財源確保を求めており、目新しいものであるとともに、理屈をどういう風に作っていくのかがたいへん興味を惹きます。

雇用保険制度は雇用保険2事業で使用者による教育訓練に助成し、失業等給付の財源で労働者自身による教育訓練に助成しているわけですが、どちらも雇用契約関係を前提とし、それを前提とする雇用保険への加入を前提としているわけですね。

今現在の雇用保険法では、フリーランスへの教育訓練への助成を正当化するのは難しいようにも思われますが、さてここをどのような理屈で突破していくのか、フリーランスへの労働政策の拡大の位置局面という観点からも大変興味を惹かれるところです。

やや似た話が雇用仲介事業のところでも出てきます。

ア 雇用仲介制度の見直し
【a,c:措置済み、b,d:令和4年度措置】
a 厚生労働省は、職業安定法(昭和 22 年法律第 141 号)における「募集情報等提供」に該当しない雇用仲介サービスについて、法的位置付けを明確にする。
この際、ICTを活用したサービスの進化が早いことを踏まえ、過剰な規制とならず有益なイノベーションを阻害しないよう留意しつつ、求人者・求職者が安心してサービスを利用できる制度となるよう見直しを行う。
b 厚生労働省は、求職者がそれぞれの事情に応じて、適切なサービスを選択できるようにするため、令和4年3月に改正された職業安定法に基づき多様化する雇用仲介サービスの情報を正確に把握して、求職者に提供するとともに、優良な事業者が広く認知される方策を検討し、必要な措置を講ずる。
c 厚生労働省は、雇用仲介サービス事業者に、求職者等からの苦情に対応するために必要な体制の整備を義務付けるなど、求職者の保護を徹底するための方策を検討し、必要な措置を講ずる。
d 厚生労働省は、フリーランス等を対象とした雇用以外の仕事を仲介するサービスについて、雇用仲介サービスに類似する内容のものがあることに鑑み、雇用以外の仕事を仲介する事業者も、雇用仲介事業者に適用されるルールに倣って業務が行えるよう、丁寧な周知を行う

文末が「丁寧な周知」とよくわからない表現になっていますが、いずれにしても現行の職業安定法では対象にならないフリーランスの職業仲介事業に対して、今後どういう法政策を講じていく必要があるのか、そもそもウーバー型の労働プラットフォームってのは何なのか、みたいな話もいっぱいあるわけで、ここも興味深いところです。

 

 

 

 

 

 

 

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