『季刊労働法』2022年夏号(277号)
『季刊労働法』2022年夏号(277号)の宣伝がすでにアップされているようなので、ご紹介。
メインの特集は「集団法をめぐる近時の論点」とのことで、
今号では、茨城の家電業界の事例を契機にした労働協約の拡張適用、また、使用者団体はカルテル規制違反のおそれを理由に団体交渉を拒否できるかといった独禁法と労使関係法制の問題――これらを中心に据えた集団的労働法を特集します。従業員代表法制、不当労働行為制度の新しい問題についても言及します。
従業員代表制について―これまでの議論の整理と韓国法から得られる示唆― 韓国外国語大学教授 李鋌 学習院大学教授 橋本 陽子
労働組合法18条の解釈について―令和3年9月22日厚生労働大臣決定等の意義と課題― 労働政策研究・研修機構主任研究員 山本 陽大
レイバーエグゼンプションの背景に関する覚書 ―経済法と労使関係法制の整除に向けた予備的検討 帝京大学助教 藤木 貴史
不当労働行為救済制度と集団的労使関係の課題 小樽商科大学教授 國武 英生
山本さんのは、例のUAゼンセンの地域的拡張適用の件ですね。藤木さんのは、私が昨年春号で少しだけ突っ込んだフリーランスと団体交渉の話をきちんと整理してくれるような論文に違いないと思います。
小特集は「本土復帰50年―沖縄と労働法」ですが、
5月15日、沖縄は本土復帰50年を迎えました。小特集では、本土復帰から復帰後50年の沖縄労働社会について、労働法の視点から概観し、その特異性を踏まえ、その変貌・課題などを掘り下げます。
基地労働を通して見た復帰後50年の沖縄の労働法上の課題 沖縄大学教授 春田 吉備彦
沖縄振興計画と本土「復帰」50年の労働環境の変化と特質 沖縄大学講師 島田 尚徳
個人的には、『団結と参加』でちらりと垣間見た復帰以前の米軍統治下の沖縄労働法って何だったのかにも興味があります。
あとはこういう論文が並んでいますが、
■論説■
長時間労働による労働災害と取締役の責任 ―近時の裁判例を素材に 日本大学教授 南 健悟
ILO105号条約批准の意義―あおり行為等の刑事罰を中心に 早稲田大学名誉教授 清水 敏■解説■
医師の働き方改革―令和6(2024)年4月に向けた具体的な取組へ 厚生労働省医政局医事課/労働基準局労働条件政策課企画官 坪井宏徳■研究論文■
障害者雇用における合理的配慮概念の再検討―「障害の社会モデル」から見る労働者像― 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社サステナビリティ戦略部 マネージャー 櫻井 洋介■労働法の立法学 第64回■
公的職業訓練機関の1世紀 労働政策研究・研修機構労働政策研究所長 濱口 桂一郎■イギリス労働法研究会 第40回■
泊まり込み労働者の睡眠時間に対する全国最低賃金法令の適用問題 東京大学准教授 神吉 知郁子■アジアの労働法と労働問題 第48回■
マレーシアの労働法と労働組合の関係性について 金属労協(JCM)顧問 小島 正剛■判例研究■
劇団員の労働者性 エアースタジオ事件・東京高判令和2・9・3労判1236号35頁 専修大学教授 石田 信平
市と締結した労務参加契約の法的性質と安全配慮義務違反の有無 浅口市事件・岡山地倉敷支判平成30・10・31判時2419号65頁 千葉大学教授 皆川 宏之 (コメント)千葉大学教授 下井 康史■重要労働判例解説■
労働者派遣法40条の6第1項5号に基づく偽装請負等の目的の有無 東リ事件(大阪高判令和3・11・4労判1253号60頁)専修大学法学研究所客員所員 小宮 文人
事業譲受会社に対する退職金請求と会社法22条 ヴィディヤコーヒー事件(大阪地判令和3・3・26労判1245号13頁)日本大学教授 南 健悟■追悼■
花見忠先生を偲んで 獨協大学名誉教授 桑原 靖夫
わたくしの連載は、今回は公的職業訓練を取り上げました。OJT中心の企業内訓練が重要な日本型雇用システムのもとではどうしても二の次三の次的な扱いをされがちな存在であるにもかかわらず、今回の新しい資本主義でもそうですが、政府の雇用政策手段としてやたらに期待を寄せられ、その結果(メンバーシップ型社会のもとでは当然の)効果の薄さが批判の的になるという悪循環を繰り返しています。今回はほぼ百年にわたるその歴史を振り返りました。
今号で注目したいのは判例評釈です。エアースタジオ事件と浅口市事件はいずれも私自身評釈したことがあり、特に後者は、東大の労働判例研究会で報告しただけで特に活字化もしていなかったのに、ちょうど1年前の『日本労働法学会誌』134号で、弁護士で信州大准教授の弘中章さんに取り上げていただいたといういわくつきのものなので、皆川さんがどういう風に取り上げているのか興味があります。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/06/post-e462a4.html(浅口市事件評釈@東大労判)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/05/post-17206c.html(『日本労働法学会誌134号』)
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デジタルとかITとかの用語が最近の閣議決定文書にはちりばめられていますが、では具体的にはどういうことなのだろうかと考えると非常に矮小なものになってしまう(それを言葉で目くらましをかけている)ので、期待感はありません。
何より、「デジタル人材」の賃金は平均的な賃金より安いのです。このあたり、介護労働と同じ臭いがしますね。自虐的にIT士方と称するのもさびしいのもありますが(漢字の違いは意図的ですよ)、中抜きがひどすぎますね。
投稿: ちょ | 2022年6月13日 (月) 22時36分
> 平均的な賃金より安い
安くても楽ちん、家事と両立も余裕、とか、だったら
いいんですけどね
高度な業務であり「有能な人間」にしかできないとか
ケアワークは「思いやりのある人間」にしかとか言う
ものだから、まったくねえ
投稿: eisuke | 2022年6月14日 (火) 08時43分