労働争議の4割は駆込み訴え@『労務事情』2022年7月1日号
『労務事情』2022年7月1日号の「数字から読む日本の雇用」に、「労働争議の4割は駆込み訴え」を寄稿しました。
2001年に個別労働関係紛争解決促進法が制定されたとき、その背景事情のうち大きなものとして存在していたのは、実質的個別労働紛争が集団的紛争の装いを纏って労働委員会にやってきている状況でした。1990年代後半から注目され始めたいわゆる駆込み訴えは、当時労働委員会への争議調整事件新規係属件数の1~2割を超えるに至っていました。こういう事態になるのも、個別労働紛争を専門に処理する仕組みが存在していないからではないかということで、紆余曲折の末、都道府県労働局や労働委員会における個別労働紛争のあっせん制度が設けられたわけです。ところが、その後20年余りが経過し、これら新たな個別紛争処理件数は確かに大きく増えましたが、駆込み訴えもさほど減っておらず、むしろ争議件数に占める割合はじわじわと上昇し、今では労働委員会にやってくる争議件数の4割以上を占めるに至っています。2020年度で見れば、争議調整事件新規係属件数229件のうち、合同労組事件が166件で72.5%、駆込み訴えが93件で40.6%に達しており、事実上労働委員会は合同労組の駆込み訴えのための機関と言ってもいいくらいです。・・・・・
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