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2022年5月12日 (木)

性交契約の違法性について

余りきちんと追いかけていなかったのですが、例の成人年齢引下げとアダルトビデオの問題が新法制定という話になり、こういう問題が提起されるに至っていたようです。

https://www.asahi.com/articles/ASQ5C00K8Q5BUTFL00L.html(AV対策新法に「待った」 性行為の撮影、合法化しないで)

アダルトビデオ(AV)撮影による被害を防ぐため、与党がまとめた新しい法律の骨子案に対し、「性行為の撮影を合法化してしまう」と懸念の声が上がっています。・・・・

――新法にはどんな懸念があるのでしょうか。教えてください。

岡さん まず、与野党が協議している法案の骨子案にAVの定義が書いてあります。「性行為などを撮影した映像」という趣旨の文言です。性交など性行為の撮影を肯定することが前提となっており、この法律自体がそうした性行為を伴う契約が許されると認めてしまうことになります。・・・・

001

現在、性交契約それ自体の合法性、違法性を明示した法令や裁判例は存在しないと思われますが、若干の労働法制において「公衆道徳上有害な業務」として、それに関わる派遣、紹介、募集等の行為を一定の刑事罰の対象としています。

そもそも現在問題となっているのは特定のビデオ商品の製造販売事業とそれに関わるさまざまな業務なのであって、私的自由との関係で重大な議論になり得る性交契約の合法性、違法性といった話に一足飛びに向かう前に、現在の法制度上どこまでが違法とされているのかについての正確な情報を踏まえて議論がされることが望ましいと思われるので、若干古い情報ですが、6年前に本ブログで若干の裁判例を紹介したエントリを再掲しておきます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-d708.html(公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は)

こんなニュースが流れていますが、

http://www.sankei.com/affairs/news/160612/afr1606120006-n1.html  (大手AVプロ元社長逮捕 労働者派遣法違反容疑 女性「出演強要された」)


経営していた芸能事務所に所属していた女性を、実際の性行為を含むアダルトビデオ(AV)の撮影に派遣したとして、警視庁が11日、労働者派遣法違反容疑で、大手AVプロダクション「マークスジャパン」(東京都渋谷区)の40代の元社長ら同社の男3人を逮捕したことが、捜査関係者への取材で分かった。女性が「AV出演を強いられた」と警視庁に相談して発覚した。

最近話題のAV出演強要問題について、目に余ると考えたか、警察は労働者派遣法を適用するというやり方を取ってきたようです。

AvHaken_2

 

しかし、労働法学的にはいくつも論点が満載です。

まずもって、AVプロダクションがやっているのは労働者派遣なのか?AVプロダクションに「所属」しているのは、AVプロダクションが当該女優を「雇用」しているということなのか?

そういう判断はあり得ると思われますが、そうすると、今やっている全てのAVプロダクション、にとどまらず、多くの芸能プロダクションは届出もせず許可も受けずに業として労働者派遣をやっているということになりかねませんが、そういうことになるのかどうか?

後述の判決ではこの点は当然の前提として議論になっていません。

もっと重要なのは、この問題について強要の有無ではなく、当該出演内容たる性行為を「公衆道徳上有害な業務」と判断して適用してきたという点です。

労働者派遣法にはこういう条文があります。


第五十八条  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

記事はこういう記述があり、


労働者派遣法は実際の行為を含むAVへの出演を「公衆道徳上有害な業務」として規制している。捜査当局が同法を適用して強制捜査に踏み切るのは異例。

実際、確かに、アダルトビデオ派遣事件判決(東京地判平成6年3月7日判例時報1530号144頁)では、こう述べています。


本件における派遣労働者の従事する業務内容についてみると、派遣労働者である女優は、アダルトビデオ映画の出演女優として、あてがわれた男優を相手に、被写体として性交あるいは口淫等の性戯の場面を露骨に演じ、その場面が撮影されるのを業務内容とするものである。右のような業務は、社会共同生活において守られるべき性道徳を著しく害するものというべきであり、ひいては、派遣労働者一般の福祉を害することになるから、右業務が、「公衆道徳上有害な業務」にあたることに疑いの余地はない。そして、労働者派遣法五八条の規定は、前述のように、労働者一般を保護することを目的とするものであるから、右業務に就くことについて個々の派遣労働者の希望ないし承諾があつたとしても、犯罪の成否に何ら影響がないというべきである。

弁護人は、性交ないし性戯自体は人間の根源的な欲求に根ざすものであるから「有害」でないと主張するけれども、性交あるいは口淫等の性戯を、派遣労働者がその業務の内容として、男優相手に被写体として行う場合と、愛し合う者同士が人目のないところで行う場合とを同一に論じることができないことは、明らかであり、この点の弁護人の主張もまた採用することができない。

たしかに「右業務に就くことについて個々の派遣労働者の希望ないし承諾があつたとしても、犯罪の成否に何ら影響がない」と言いきっていますが、ここは議論のあるべきところでしょう。

同判決は後段でさらに「たとえ雇用労働者が進んで希望した場合があつたにせよ、若い女性を有害業務に就かせ、継続的、営業的に不法な利益を稼ぎまくつていたことも窺われ、その犯情は極めて悪質で、厳しく咎められなければならない」とまでいっています。

この判決からすると、今回の警察の動きはそれに沿ったものということになりますが、そもそも出演「強要」を問題にしていた観点からすると、こういう解決の方向が適切であるのか否かも含めて議論のあるべきところでしょう。

(追記)

当該女性がAVプロダクションに雇用された労働者なのか、という点について、上記平成6年3月7日東京地裁判決では、被告側が争っていないので議論になっていないのですが、そこを争った事案はないかと探してみたら、こういうのがありました。平成2年9月27日東京地裁判決です。被告側が雇用関係不存在を主張したのを判決が否定しているところです。


・・・弁護人は、CはAが雇用する労働者ではないし、また、被告人がCをBの指揮命令のもとに同人のためモデルとして稼働させたことはないから、被告人の行為は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下、「労働者派遣法」という)五八条にいう「労働者派遣」に該当しない旨主張する。

そこで検討するのに、前掲関係各証拠によれば、Aは、昭和六三年七月ころから事務所を設置して無許可でいわゆるモデルプロダクション「E」の経営を始め、同年九月ころ、Cに対しモデルになるよう勧誘し、Cはこれに応じたこと、そのころから平成元年一〇月ころまでの間、Aは、Cを本件のBのほか、いわゆるアダルトビデオ制作販売会社、SMクラブ、ストリップ劇場等に派遣したこと、Cに対する報酬は、いずれの場合も派遣先から直接同女には支払われず、A又はAと意思を通じたFから支払われ、その金額はAらが決定していたものであり、本件において、Aは、派遣料として取得した六万円のうち二万円をギャラとしてCに支払ったこと、AはCに対し仕事の連絡のため一日一回必ず電話するよう指示し、同女は右指示に従っていたことが認められ、以上の事実に照らせば、Cは、相当長期間にわたりAの指揮命令のもとにモデルとしての労働に服し、その対価として報酬を得ていたというべきであって、AとCとの間には労働者派遣法二条一号にいう雇用関係を認めることができる。

また、前掲関係各証拠によれば、Bは昭和五九年秋ころから多数のモデルの派遣を受けて、同女らとの性交及び性戯のビデオ撮影を反復継続してきたこと、本件において、Bは、右と同様のビデオ撮影の目的をもって被告人からCの派遣を受けたものである上、当日は、ビデオカメラ、モニターテレビ、照明器具等の備え付けられた判示の「D」(省略)号室内において、約六時間にわたりCとの性交、性戯等の場面をビデオ撮影していること、その間、CはBの指示に従い、同人を相手方とせず単独で被写体となって自慰等種々のわいせつなポーズをとっていたことも認められるから、CがBの指揮命令の下にモデルとして稼働したことは明らかである。

なお、弁護人は、CはBの性交又は性戯の相手方となったに過ぎないから、Cは労働に従事したとは言えない旨主張するが、前記事実関係に照らせば、BによるCのビデオ撮影は、同女がBの性交又は性戯の相手方となったことに付随するものにとどまるとは認められない。

以上のとおり、被告人の本件行為は労働者派遣法五八条にいう「労働者派遣」に該当するものと認められるから、弁護人の右主張は採用できない。

(追記2)

判例を調べていくと、プロダクションが雇用してビデオ製作会社に派遣するという労働者派遣形態としてではなく、プロダクションがビデオ製作会社に紹介して雇用させるという職業紹介形態として、やはり刑罰の対象と認めた事案があります。平成6年7月8日東京地裁判決ですが、


第一 被告人Y1及び同Y2は共謀のうえ、同Y2が、平成五年九月一七日ころ、東京都渋谷区(以下略)先路上において、アダルトビデオ映画の制作等を業とするC株式会社の監督Dに対し、同人らがアダルトビデオ映画を撮影するに際し、出演女優に男優を相手として性交性戯をさせることを知りながら、E’ことE(当時二一歳)をアダルトビデオ映画の女優として紹介して雇用させ

第二 被告人Y1及び同Y3は共謀のうえ、同Y3が、同月二八日ころ、東京都新宿区(以下略)F(省略)号室において、アダルトビデオ映画の制作等を業とする有限会社Gの監督Hに対し、同人らがアダルトビデオ映画を撮影するに際し、出演女優に男優を相手として性交性戯をさせることを知りながら、I’ことI(当時一八歳)をアダルトビデオ映画の女優として紹介して雇用させ

それぞれ、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介をした。

という事実認定のもとに、


一 本件の争点は、本件アダルトビデオ映画に女優として出演する業務が、職業安定法六三条二号にいう「公衆道徳上有害な業務」に該当するか否かである。

二 前掲各証拠によれば、本件アダルトビデオ映画への出演業務は、制作会社の派遣する不特定の男優を相手に性交あるいは口淫、手淫などの性戯を行い、これを撮影させて金銭を得るものであると認められる。ところで、本来、性行為は、その相手の選択も含めて個人の自由意思に基づく愛情の発露としてなされるものである。しかるに、本件のように、女優が不特定の男優と性交渉をし、それを撮影させて報酬を得るということは、女優個人の人格ないし情操に悪影響を与えるとともに、現代社会における一般の倫理観念に抵触し、社会の善良な風俗を害するものであるから、これが職業安定法六三条二号にいう「公衆道徳上有害な業務」に該当することは明らかである。

三 右の点につき、弁護人は、男女の性器を隠すなどの修正を加え、自主的倫理審査委員会の審査を経たうえで市販されるアダルトビデオ映画は、今日の日本社会においては社会的風俗として受容されており、それに出演する業務についても一定の社会的な受容があるから、右業務は右法条にいう「公衆道徳上有害な業務」に該当しない旨主張する。

  しかしながら、右のような修正及び審査を経て市販されるアダルトビデオ映画が社会的風俗として受容されているか否かと、その制作過程の出演業務が公衆道徳上有害であるか否かとは別個の問題であり、たとえ、右のようなアダルトビデオ映画に一定の社会的受容があるとしても、前述した本件のごとき内容のアダルトビデオ映画への出演業務は、「公衆道徳上有害な業務」に該当するというべきである。

  また、弁護人は、右法条は売春またはそれに準ずる程度に著しく社会の道徳に反し、善良な風俗を害する業務に限定して適用すべきであると主張するが、前記のとおり、本件アダルトビデオ映画への出演業務が「公衆道徳上有害な業務」に該当することは明らかであり、弁護人の主張は理由がない。

と判示しています。

ご承知のように、労働者派遣法58条はもともと職業安定法63条2号からきています。


第六十三条    次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

一   暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

二   公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

こちらは「暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて」というのがあるのですが、派遣法にはないのですね。

ただいずれにせよ、プロダクションのアダルトビデオ出演を募集/紹介/供給/派遣する行為は、法的形態がどれであるにせよ、「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」であるというのは、地裁レベルとはいえほぼ確立した判例になっているようです。

(追記3)

ちなみに、上記職業安定法63条2号には「募集」も含まれます。判例には、ビデオ制作メーカーがこの「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で」「労働者の募集」をしたとして有罪になった事案もあります。東京地判平成8年11月26日(判例タイムズ942号261頁)は、


被告人は、わいせつビデオ映画の制作販売業を営んでいたものであるが、わいせつビデオ映画制作の際に女優として自慰等の性戯をさせる目的で、平成七年一二月二〇日ころ、東京都渋谷区代々木〈番地略〉○○ビル二階の被告人の事務所において、B子(当時一五歳)と面接し、同女に対し、「セックス場面は撮らないで、入浴シーンやオナニーシーンを中心に撮る。」「出演料はいくら欲しいの。」「顔や人物がわかる部分はあまり撮らないし、入浴シーンなどで変な部分が写ったらボカシを入れる。三万円欲しければ三万円なりの内容でいく。五万円欲しければ五万円の内容でいく。親や友達には絶対分からないようにするから安心しなさい。」などと申し向け、自己の制作するわいせつビデオの女優として稼働することを説得勧誘し、もって、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者を募集した。

という事案について、


被告人は、前示犯罪事実につき、B子と面接した際、同女を全裸にせずに下着を着けさせてビデオを撮影するつもりであったから公衆道徳上有害な業務に就かせる目的はなかったと主張する。右主張は、B子の供述内容に反するばかりでなく、被告人自身がその後に実際にB子を全裸にして撮影していることに照らしても疑わしいところであるが、仮に、当初は被告人が主張するような意図であったとしても、本件のように心身の発達途上にある一五歳の女子中学生が自慰などをし、その場面を撮影させて報酬を得るということは、当該女子の人格や情操に悪影響を与えるとともに、現代社会における善良な風俗を害するものであるから、このような業務が職業安定法六三条二号にいう「公衆道徳上有害な業務」に該当することは明らかである。したがって、いずれにせよ、被告人の主張は理由がない。

と判示しています。もっとも、同判例は、芸能プロダクションから紹介された別の女性については「募集」に当たらないとして無罪としています。

このように、派遣でも紹介でも、さらには直接募集でも「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」であれば刑罰の対象となるのです。

(新追記)

以上のような裁判例は確立したもので、近年の裁判例もほぼ同様の判断を繰り返しているようです。

東京地裁平成30年6月29日

 被告人両名は,未成年であった被害者のモデルになりたいという夢につけ込み,十分な説明もせずに公衆道徳上有害な業務であるアダルトビデオへの出演の話を進め,被害者が出演を渋ると,アダルトビデオに出ないで有名になる方法はないなどと誤導したり,仕事をしないなら見捨てるなどと圧力を加えたりして,精神的に追い詰め,冷静な判断力を奪うなどしてアダルトビデオへ出演させたものであり,このような行為は,未成年者の判断力の未熟さに乗じ,なおかつ,女性の人格を尊重しないものであって,強く非難されるべきである。上記のような経緯によるアダルトビデオ出演の結果,被害者にただならぬ精神的・肉体的苦痛が生じたことも軽視できない。さらに,本件では,アダルトビデオ制作会社がプロダクションに支払った出演料のうち,被害者の手元に渡ったのは2割程度で,残りは全てスカウト側とプロダクション側とで折半していたものであり,その搾取の程度は著しい。
 本件の犯情は悪く,また,このような犯行を禁圧すべき社会的要請も強いのであって,当然懲役刑を選択すべき事案である。

東京地裁平成30年12月25日

 本件は,アダルトビデオ制作会社に女性を売り込むプロダクションで面接等を担う被告人が,同プロダクションでマネージャーを担う者及びアダルトビデオ出演を勧誘してプロダクションに紹介するスカウトを担う者らと共謀して,被害者をアダルトビデオ制作会社に紹介して雇用させた,という有害職業紹介の事案である。
 本件では,スカウト側の共犯者らが,未成年者であった被害者のモデルになりたいという夢につけ込み,十分な説明をせずにアダルトビデオ出演の話を進め,被害者が出演を渋ると,アダルトビデオに出ないで有名になる方法はないなどと誤導したり,仕事をしないなら見捨てるなどと圧力を加えたりするなどし,被告人も,プロダクションの面接において,被害者が撮影可能な性的行為の種類を少なく答えるなどしてアダルトビデオ出演に前向きでない姿勢を示していたにもかかわらず,より多くの種類の性的行為の撮影に応じられる旨の言質を誘導的に取るなどしている。このような被告人らの行為は,未成年者の判断力の未熟さに乗じ,なおかつ,女性の人格を尊重せず,有害な労務に誘導するものであって,強く非難されるべきである。上記のような経緯によるアダルトビデオ出演の結果,被害者にただならぬ精神的・肉体的苦痛が生じたことも軽視できない。さらに本件では,アダルトビデオ制作会社がプロダクションに支払った出演料のうち,被害者の手元に渡ったのは2割程度で,残りは全てスカウト側とプロダクション側とで折半していたものであり,その搾取の程度も著しく,この種行為の問題性が如実に表れている。
 被告人は,プロダクションの人事部所属の従業員として,スカウト側の共犯者から被害者の紹介を受けてその面接を行い,前示のようにアダルトビデオ出演に必ずしも乗り気でない被害者からこれを受入れるような言質を取るなどしている。被告人は,プロダクションとしての契約締結の場面には関与していないとしても,その後被害者がアダルトビデオに出演することに向けた地ならしともいえる行動に及んでおり,本件犯行において重要な役割を果たしたものである。
 本件の犯情は悪く,また,このような犯行を禁圧すべき社会的要請も強いのであって,当然懲役刑を選択すべき事案である。しかるに,被告人は,公判廷に至っても,自分は一度面接をしただけであり,その後被害者がアダルトビデオに出演することになるかどうかは分からなかったなどと不合理な,あるいは自己の責任を極力矮小化する発言に終始しており,自身の行為の問題性を省みる姿勢も被害者の心情に思いを致す態度も甚だ不十分であって,その刑責の程を理解させるに足りる科刑が必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

こんにちは。

今回のケースや性交同意年齢の一件のように、パターナリズムやリーガルモラリズム丸出しの左派が「リベラル」を自称し、何ら疑問や恥じる様子の無い事に対して頭が痛くなります。

保守主義者や社会主義者といったコミュニタリアンが、特定の善き生を個人に強制し、道徳や感情に基づいた介入や規制を主張するのであれば理解はできます。
しかし、同様の論理に基づいて個人の自由に対する制限を積極的に主張する勢力が「リベラル」を自称し、その傲慢さに無自覚なまま自分達が自由主義的で寛容な人間であると勘違いしている「リベサヨ」の二重思考は、思想的立場の違いを抜きにしても不愉快で痛々しく思います。
(引用元の朝日新聞がその典型でしょう)

法と道徳の分離や、善に対する正の優越といったリベラリズムの理念も理解せず、右から左まで(法曹までも)道徳主義にどっぷり浸かった日本人(の特に政治活動に積極的な人々)には、昨今話題の「ロー対ウェイド判決」もエゴや価値観の衝突としてしか理解できないでしょう。

こうしたリベラルな理念と実際の政策の不整合性や不公正さといった偽善が、日本における左派勢力に対する不信感や反感を招いている事に気付かないのでしょうか。
パターナリズム上等の「ソーシャル」な人々にとっても、正義論としての「自由」を心から擁護する人々にとっても、迷惑な存在ではないでしょうか。

違法なので「契約は無効」という話に持って行こうというのと
「性交を取り締まりたい」というのとでは断絶がありますね。
後者の方は、警察が介入する方向を促進したいのでしょうね。

雇用関係以外で「指揮命令下の者に性交を命じて行わせる」と
いう話では福祉法で監護者性交罪みたいなものがありますね。

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