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2022年5月 2日 (月)

本田一成『ビヨンド!KDDI労働組合20年の「キセキ」』

31524975_1 本田一成『ビヨンド!KDDI労働組合20年の「キセキ」』(新評論)をお送りいただきました。

https://www.shinhyoron.co.jp/978-4-7948-1207-0.html

「スマートな労組」?とんでもない!
激しく逞しくドラマチックな闘いの歴史を余さず描く、刺激に満ちた傑作ノンフィクション。

労働組合の歴史を描く本田さんの今度の標的はKDDIです。

KDDIと言えば、わたしの労働法政策の本でもちらちらと名前が出てきます。なんといっても、あの勤務間インターバル制度を率先導入し、労働時間のあり方に新風を吹き込んだ労働運動の先端なんですが、最近の「ジョブ型」でもよく名前がでてきます。その点について、本田さんは「まえがき」でKDDI以前の国際電電労組時代のエピソードとしてとても興味深いことを述べています。

・・・第2に、1960年代に入ると、国際電電労組は「同一労働同一賃金」の導入を目論見始めた。当時の同一賃金とは、現在大きく注目され、相次ぐ裁判で関係者が固唾を飲んで判示を凝視する、非正社員や男女の賃金格差の解消につながるような内容ではない。企業横断的な、つまり同じ産業の中で仕事が同じなら同じ金額となる「仕事別賃金」のことである。・・・

佐賀は、形式上は年功賃金の方が大幅の賃上げを獲得しやすいが、長期的に見れば、同一賃金にしてから上昇させる方が本当の賃上げになると主張した。そのため、労組内に論争を巻き起こし、産業別労働運動論も勘案した賃金体系の是正を促すことになった。・・・

1960年代に、政府や経営側が職務給を主張していた頃、断固反対の総評主流派とは異なり、ヨーロッパ型の横断賃率論を主張していた労働組合がありましたが、KDDIの前身の国際電電労組はその先端にいたのですね。

国際電電労組の調査部長であった佐賀健二さんは、岸本英太郎に師事し、当時岸本学派の若手研究者であった熊沢誠さんも熱弁を振るったのだそうです。

とはいえ、本書はあくまでもKDDI労組の歴史であって、その前史に過ぎない国際電電労組のことは余り書かれていません。

で、佐賀健二さんの若き日の論文を引っ張り出して読んでみました。『労働調査時報』1966年8月号に掲載された「同一労働同一賃金を目指す国際電電労組の闘い」という半世紀以上昔のものです。

・・・私たちは労働組合が、同一労働同一賃金を指向して積極的な運動を展開し始めたのは4,5年のことである。もっとも、同じように「同一労働同一賃金」という言葉を使っていても、当初から理論的にがっちりとしたものが確立されていたわけではなく、実践を通じて私たちの理解は深まり発展してきたと言ってよい。そこで、私たちの組合がどのような要求から手を付け始めたか、そしてそれをどのように発展させてきたかを紹介し、今後の展望を明らかにしたい。・・・

とはいえ、その「今後の展望」では、「組合員の年功意識の払拭」が課題として挙げられ、なかなか前途多難を示しています。

 

 

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コメント

本田一成さんの本はどれも直球でひねりがなく正直魅力に乏しいと感じるのですが、しかし国際電電労組時代の話となるとちょっと興味がわきますね。大組織である全電通には興味や関心が向けられてもこちらの組合に注目が集まることはなかったでしょうから。

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