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2022年5月15日 (日)

個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会

去る5月12日に、厚生労働省は「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を設置し、個人事業者等に関する業務上の災害の実態把握、実態を踏まえ災害防止のために有効と考えられる安全衛生対策のあり方について検討することとしたそうです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25567.html

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000936295.pdf

これはいうまでもなく、昨年5月の建設アスベスト最高裁判決を受けた今年の安全衛生関係省令改正の延長線上にあります。

この省令改正については、昨年10月のWEB労政時報で「建設アスベスト最高裁判決と一人親方の労働安全衛生政策」について簡単に解説し、

http://hamachan.on.coocan.jp/webrousei211027.html

Booklet03220315_20220515213401 また今年3月に刊行した『フリーランスの労働法政策』の中でも、若干のページを割いていたところです。

https://www.jil.go.jp/publication/ippan/booklet/03.html

 このように、労災保険の特別加入制度が始まったのは建設業の一人親方対策からですが、そもそも建設業というのは、大体重層請負になっています。上から、発注者、元請、下請、孫請、ひ孫請と何重にも重なっています。その一番下のほうになると、もう労働者だか労働者ではないのかよく分からないような一人親方というのがいっぱいいるのです。
 労災保険については特別加入という形で対応しているわけですが、では労災予防に当たる労働安全衛生ではどうなっているかというと、一人親方は労働者ではないので対象には入っていません。いや、いませんでした。ところが、これが2021年に大きくひっくり返りました。ひっくり返したのは最高裁判所です。
2021年5月17日、建設アスベスト訴訟の最高裁判決が下され、その中で一人親方に対する国の責任が認定されたのです。建設アスベスト訴訟では、過去に建設業に携わった労働者や一人親方の石綿への曝露を防止する措置が十分だったのかという点が争われましたが、一人親方の安全衛生対策について国が権限を行使しなかったことについて下級審では判断が分かれていました。同日最高裁判決が出た4件のうち、横浜1陣では地裁高裁とも国の責任を認めず、東京1陣、京都1陣、大阪1陣では地裁は認めず高裁は認めていました。これらについて、国の権限不行使は違法であると明確な判断を下したわけです【資料10】。
 この判決を受けて、厚生労働省は2021年10月から労政審安全衛生分科会で省令改正の議論を開始し、2022年1月に省令案要綱が妥当と答申されました。労働安全衛生法はこれまで、直接雇用する労働者でなくても、下請事業者が雇用する間接雇用の者についても、元請事業者に安全衛生責任を課してきていますが、それでもあくまでも労働者の範囲内に限られていました。それが今回、最高裁の判決を契機に、労働者ではない一人親方にも拡大されることになるわけですから、労働法の適用対象のあり方としては極めて重大な意味を有します【資料11】。

今回の検討会の論点とポイントは以下のようなものだそうです。

○ 個人事業者等の災害について、整備された統計等は存在しないが、現状をどう評価するか。
○ 個人事業者等の災害を防ぐために、何らかの対策が必要だという認識で良いか。
○ 個人事業者等の安全衛生対策について、どのようなことが課題になっているか。
○ 個人事業者等の災害を防ぐためには、どのような対策が必要か。
(1)労働災害を防ぐため、現行の安衛法はどのような体系となっているか。その体系の中で、個人事業者等はどう位置付けるべきか。
(2)個人事業者自身による対策はどうあるべきか。
(3)労働者とは違う立場にある個人事業者等の保護のためには、どのような対策が必要か。
(4)経営基盤・体制が脆弱な個人事業者や中小企業に対する支援はどうあるべきか。
○ その他、労働者や個人事業者等の災害を防ぐ観点から、検討すべき事項はあるか。

フリーランスの問題というとどうしても契約関係に関心が集中しがちですが、半世紀前の家内労働法制定の時も、その原動力の一つになったのは内職によるヘップサンダル中毒事件だったこともあり、安全衛生問題というのは重要な問題なのです。

Eulabourlaw2022_20220515214101 自営業者の安全衛生問題に関しては、先月刊行した『新・EUの労働法政策』の中にも、ごくわずかですが記述が盛り込まれています。

・・・・2003年2月18日には「自営労働者の職場における安全衛生保護の改善に関する理事会勧告」(Council recommendation concerning the improvement of the protection of the health and safety at work of self-employed workers, Recommandation du Conseil portant sur l'amélioration de la protection de la santé et de la sécurité au travail des travailleurs indépendants, Empfehlung des Rates zur Verbesserung des Gesundheitsschutzes und der Sicherheit Selbstständiger am Arbeitsplatz)(2003/134/EC)が採択された。
 内容的には勧告という拘束力のないものであるが、契約企業と自営労働者の関係の特別な性質に注意を払いつつその安全衛生を促進することや、自営労働者が安全衛生サービスを受けられるようにすること、そのための情報や訓練にアクセスできるようにすること、曝露されている危険に応じた健康診断を受けられるようにすることなどを加盟国に求めている。・・・・

今後どうのように議論が進んでいくことになるのか、注目していく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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