それはジョブ型詐欺
プレジデントウーマンのコラムに、溝上憲文さんが「「転勤はイヤ」「自己完結の仕事がいい」ジョブ型雇用を勘違いした就活生を待ち受ける厳しい現実」という記事を書いているのですが、読んだら頭を抱えてしまいました。
https://president.jp/articles/-/58130
就活生の間でジョブ型人事制度を導入した企業が人気になっている。ジャーナリストの溝上憲文さんは「彼らが転勤を含む異動はもちろん、仕事の進め方や働き方を自分でコントロールできると勘違いしているようです」という――。
言っていることは、それ自体としては正しいとも言えます。日本の企業が導入していると称している「ジョブ型」なるものは、欧米の雇用社会を指す言葉としての「ジョブ型」とは似ても似つかない、変形メンバーシップ型でしかないのですから。
ところが、溝上さんはそれを学生たちの勘違いだと批判するんですね。
もしそうならジョブ型、とくに日本企業が導入しているジョブ型人事制度を明らかに誤解している。・・・・
ではジョブ型を導入している日本企業はどうか。実はジョブ型と紹介される大手企業のジョブ型雇用は、新卒一括採用も行われ、入社後も従来同様にOJT(職場内訓練)や部署間を異動するジョブローテーションによる内部育成も実施されている。人事異動については原則「社内公募制」にするという企業もあるが、あくまで原則であって会社が人事権を手放しているわけではなく、会社主導の人事異動や転勤も実施され、純粋なジョブ型雇用ではない。
いやいや、本来のジョブ型を正しく理解している学生たちをおかしな用語法で「誤解」に引きずり込んでいるのは、インチキなジョブ型を振り回している企業や経営コンサルタントの方ではありませんか。
正しい言葉遣いを理解している者が「日本企業が導入しているジョブ型人事制度を明らかに誤解している と」批判され、間違ったいんちきジョブ型を掲げている企業の側は無罪放免というのは、なんぼなんでもひどすぎませんかね。それこそ「ジョブ型詐欺」というべきでしょう。
もっとも、新卒一括採用に応募しようとしている自分の姿を省みれば、それがジョブ型なんかではないのはあまりにも当たり前で、基本的な労働リテラシーの問題だと斬って捨てられるかもしれません。
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