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2022年5月25日 (水)

医療界もメンバーシップ型へ??

日経新聞にこんな記事が出てるんですが、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2549K0V20C22A5000000/(薬剤師が看護師の仕事も 医療「職務シェア」の改革案)

政府の規制改革推進会議の医療・介護分野の答申案が判明した。医療従事者の仕事は法律などに基づいて定められているが、職種を超えて分担する「タスクシェア」を検討すると明記した。介護施設の人員配置基準を緩和する方針も盛り込んだ。改革案は約70項目に及ぶ。改革には抵抗も予想され実現は不透明な部分もあるが、新型コロナウイルスの感染拡大で問題となった医療の効率化は待ったなしだ。・・・

日本はメンバーシップ型だと言いながら、その一番大きな例外は医療の世界です。なんといっても、すべての職種が入口から出口まできっちりジョブ・デマケされている、いやいや入口のずっと前から、医学部で勉強しないと医師にはなれないし、看護学校で勉強しないと看護師になれないし、薬学部で勉強しないと薬剤師になれない。そして、医師は医師、看護師は看護師、以下同文で、ごく限られた領域を除いてそのタスクは法律で厳格に分割されている。

ジョブ型の話をするときによく使うジョークですが、「君も看護師を10年近くやって慣れてきたからそろそろ医者をやってみるかね。最初はOJTでぼちぼちと」なんて言わないでしょう。でも日本の企業でやっているのはそういうことなんですよ、というと、ははあ、ジョブ型というのは、メンバーシップ型というのはそういうことか、とわかってもらえる。配属された最初はみんな素人なので、OJTで見よう見まねで覚えていくという日本的なやり方はジョブ型の医療の世界では許されないのです。成果主義だなんだというのがいかにインチキで、ジョブのデマケでがちがちなのがジョブ型社会なんですからね。

そういうまことに古めかしく硬直的な、ジョブ型の中のジョブ型というべき医療の世界を、iPS細胞宜しく柔軟性の極致ともいうべき日本的なメンバーシップ型に作り替えようという陰謀(笑)が進められているようです。

何かというとジョブ型を推奨してやまない規制改革推進会議が、医療界をジョブ型からメンバーシップ型にしようというのも相当にシュールですが、一昨年からあれほど口を極めて(いささかおかしな)ジョブ型を宣伝してきた日経新聞が、こういう反ジョブ型の陰謀を歓迎しているっぽいのも、なかなかに興味深い光景と申せましょう。

 

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コメント

タスクシフトにまっしぐらの医師側は、これも肯定的でしょうね。

まあ、これはイギリスなんかでは看護師に許された業務範囲が広いとかいう話を下敷きにした議論なんでしょうね。

むしろ気になるのは、メンバーシップ型を基調とする戦後日本において、なぜ医療業界は強固なジョブ型を維持しえたのか、というところですね。


これは、職域ごとに強力な圧力団体を形成しえたということがあるでしょうし、より根幹には、病院というのがひどい身分制社会である(あった)というところに答えを求めるべきでしょうね。

身分制社会と未だ見られているとしたら、職種の協働が主流テーマとなってきた近代の医療組織にタスクシフトが肯定的に受け入れらることないでしょう。

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