スペインは月5日の生理休暇制度を計画
これはやや小ネタですが、ちょっと面白いなと思った記事です。イギリスのザ・ガーディアン紙に載ったスペインの記事ですが、
Spain’s Socialist-led coalition government is preparing a law that would allow women over the age of 16 to have abortions without permission from their parents or guardians, and introduce up to five days of menstrual leave a month.
スペインの社会党主導連立政権は、16歳以上の女性に親の同意なく妊娠中絶をする権利と、月5日の生理休暇を導入する法律を準備している。
たぶん記事の主眼はカトリック国のスペインにおける生殖関連の権利に関わる前者なんだろうと思われますが、個人的には後者の生理休暇の導入というのが興味深いです。
というのも、日本で1947年に労働基準法ができるときに、外国にその例がないのに生理休暇という制度が設けられたということはかなり有名で、『働く女子の運命』でも、p52にちらりとこう記述していました。
・・・このときに労働基準法が設けた生理休暇は、世界に類を見ない規定ですが、戦時中の女子挺身隊の受入時に実施されたことを背景に、戦後労働運動の高揚の中で生理休暇要求とその獲得が進み、行政内部でも谷野せつ氏が強く訴えたことから、実現に至ったといわれています(田口亜紗氏『生理休暇の誕生』青弓社)。
それが21世紀の今日スペインで法制化されるというのは、小ネタとはいえ興味が惹かれます。
According to the Spanish Gynaecological and Obstetric Society, a third of women experience dysmenorrhea, or painful menstruation.
“When there’s a problem that can’t be solved medically, we think it’s very sensible to have temporary sick leave,” Ángela Rodríguez, the secretary of state for equality,told El Periódico in March.
スペイン産婦人科学会によれば、女性の3分の1が月経困難症や生理痛を経験している。
「医学的に解決できない問題があれば、一時的な病気休暇を取るのが極めて良識的だ」とアンジェラ・ロドリゲスは語った。
ということです。
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コメント
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生理休暇がどれくらい活用されるか、どのように運用されるかとても興味深いです。
自分が単組の役員をやっていた際、生理休暇は制度として存在するものの、男性上司に申請しづらいという声が非常に多く、実際は通常の有給休暇で代用されていました。女性上司だとまた違うのかもしれません。スペインの女性管理職比率は承知していませんが、実運用でどこまでの利用率となるか、管理職の性別による違い、運用法方など日本でも参考になることが多そうです。
投稿: 欧州の片隅で | 2022年5月13日 (金) 16時41分