ウラジミール・プーチン 欧州を団結させた男
EUobserver紙に載ったデニス・マシェーンさんの「Vladimir Putin – the man who just united Europe」(ウラジミール・プーチン 欧州を団結させた男)というエッセイが、なかなか皮肉が効いていて大変面白い。
https://euobserver.com/opinion/154453
War is famous throughout history as the midwife of revolution. But no-one could have imagined just a short week ago when Vladimir Putin launched his invasion of a European democracy, Ukraine, that in just a few days there would be a revolutionary change not seen in Europe, since — well — the days of the Bolshevik upheavals of 1917.
In short, Putin has united Europe as never before.
戦争は歴史を通じて革命の産婆として有名である。しかし、ウラジミール・プーチンが欧州民主主義-ウクライナへの侵略を始めたほんの数週間前まで誰も想像しなかったような革命的変化が、そう1917年のボルシェビキ蜂起以来欧州に見られなかったようなことがここ数日間で起こったのだ。
一言で言えば、プーチンは未だかつてなく欧州を団結させた。
で、スウェーデンとフィンランドがNATOに入ろうとしているとか、ドイツが大軍拡に乗り出し緑の党も賛成しているとか、いろいろ並べて「コペルニクス的革命」だといい、こういう皮肉を噛ませます。
When the crisis is over, Brussels should erect a statue to Vladimir Putin as the man who woke Europe from a long sleep as its leaders decided to accept responsibilities they had long shunned.
危機が終わったら、ブリュッセルは欧州を長い眠りから覚醒させた男としてウラジミール・プーチンの銅像を建てるべきだろう。
この記事の皮肉の矢はイギリス政府に向かいます。
Europe appears to have decided to do defence of freedom and to no longer tolerate Putin oligarchs. That leaves Britain and its capital city now known as Londongrad in a delicate position.
欧州は自由を守りもはやプーチンのオルガルヒを許容しないと決めた。これはイギリスといまやロンドングラードとして知られるその首都を微妙な位置に置くことになろう。
ロンドングラードなんて言葉は初耳でしたが、この記事によるとプーチンのオルガルヒにとってロンドンは「home-from-home 」(自分の家みたいに気楽な場所)なんだそうですね。
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調べてみると、すでに2009年9月にLondongrad: From Russia with Cash; The Inside Story of the Oligarchs という本が出版されており、2020年7月の英国議会報告書ではロシアの富裕層が英国社会の上層にとって不可欠な存在となっていることが明らかにされていました(2020年7月30日付 AFP通信電子版記事『「ロンドングラード」 ロシア富裕層が英社会に多大な影響力 保守党に献金疑惑も』https://www.afpbb.com/articles/-/3295873)ね。
また、現在、英国の名門サッカークラブ、チェルシーのオーナーでプーチン陛下とも親しいオリガルヒ、ロマン・アブラモビッチ氏の動向に注目が集まっているのもこの流れということですね。
投稿: SATO | 2022年3月 1日 (火) 15時19分
へえ、なるほど、アメリカではトランプの勝利にプーチンが介入していたといわれていますが、イギリスでもブレグジットにはプーチンの手が入っていたんですね。
投稿: hamachan | 2022年3月 1日 (火) 16時34分